電機メーカー大手のパイオニア(本社:東京都文京区/代表取締役社長:小谷進)は2018年10月2日までに、MEMS(微小電気機械システム)ミラー方式の新しい「3D-LiDARセンサー」の提供を開始すると発表した。提供開始されるのは3種類4モデルでそれぞれ計測距離が異なる。
LiDARとは自動運転車の「目」となる重要なシステムだ。車両の周辺の交通状況を立体的にリアルタイムに計測することができる。緊急時以外はシステムが走行を担う自動運転レベル3(条件付き自動運転)以上を達成するときには必要不可欠と呼ばれるセンサーの一つだ。
今回パイオニアが提供を発表した3D−LiDARは、駆動部のないMEMSミラーを活用した「ラスタースキャン方式」を採用しており、用途に分かれて3つのタイプが用意されている。長距離を測定する「望遠タイプ」、中距離を測定する「標準タイプ」、近距離用の「準広角タイプ」だ。
さらに中距離測定用である「標準タイプ」には、3D−LiDARセンサーを2台搭載した計測幅の広い「デュアルタイプ」も用意されており、それぞれ違うタイプを状況や環境に合わせて組み合わせて使うことも可能だという。
パイオニアは2020年以降のLiDAR量産化を目指して、高性能でコストを抑えた3D−LiDARセンサーの開発を進めており、2017年9月からは国内外の自動車メーカーに検証用のLiDARのサンプルの提供も行ってきた。
また汎用部品を活用するなどの柔軟なシステム構成にすることによって、量産時のコストダウンを成功させた。さらには、独自のデジタル信号処理技術や最適化されたアルゴリズムを採用することによって、黒色の識別や遠方のものに対する計測精度を向上させている。
現在経営再建中のパイオニアが返り咲くために、新型3D−LiDARにかけられた期待は大きい。パイオニアが復権する鍵は、新型3D−LiDARが握っていると言えるだろう。
【参考】パイオニアの経営再建に向けた動きに関して、詳しくは「パイオニア、自動運転の目「LiDAR」で巻き返しへ 再建に向け各社と提携協議」も参照。