トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市/代表取締役社長:豊田章男)は2018年6月26日、全グレードに車載通信機(DCM)を標準搭載した新型クラウンとカローラスポーツの販売を開始した。これを皮切りに今後国内で発売するほぼ全ての乗用車にDCMを搭載し、コネクテッド化を加速させる。東京五輪が開催された1964年の2年後に初代カローラが発売されてから、はや半世紀。トヨタ車が「つながるクルマ」に変貌を遂げる。
トヨタのコネクテッドサービスは、同社が構築した情報インフラ「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」からさまざまなサービスが提供される。自動車や乗員のセキュリティを考慮したものや通信アプリ「LINE」を活用したナビシステムなどが用意されている。
LINEを用いたサービスでは、LINEアプリに自分の愛車を「友だち」として追加し、愛車と会話することができる。例えば、LINEアプリのトーク機能で事前に行きたいところを伝えると、車載ナビの目的地にメモリーすることができ、目的地までの所要時間や距離を踏まえ、出発時間や給油の必要性なども教えてくれるという。
また、人工知能(AI)のバーチャルエージェントが乗員の会話を聞き取り、ナビの目的地設定やオーディオの操作、機器の取り扱い説明などを行う機能も備えている。ナビシステムのプログラムや地図データは常に最新版に更新され、目的地へのルート案内はセンター側にある最新の地図データとビッグデータ交通情報から探索し、最適なルートを案内する。
自動車に何らかの警告灯が点灯した際、自動車の状態を確認し、オペレーターを通じて走行継続の判断など適切なアドバイスを行う「eケア走行アドバイス」や、車両データから車両の状態をセンターが常時診断し、担当販売店と連携して必要な処置をナビに配信する「eケアヘルスチェックレポート」、エアバッグの展開と連動し、衝突時の車両データから乗員のダメージを解析して消防本部などに連絡する緊急通報サービス「ヘルプネット」など、安心の機能も充実している。
このほかDCMの標準搭載に伴い、従来の自動車保険に加えて走行データ連動型保険の適用が可能となる。
■「大変革時代」を「大チャンス」ととらえるトヨタの挑戦
トヨタの2018年3月期(2017年4月1日~2018年3月31日)の決算を見ると、日本と海外を合わせた自動車の連結販売台数は前年度比0.1%減の896万4000台、売上高は同6.5%増の29兆3795億円、営業利益は同20.3%増の2兆3998億円の状況だ。
決算発表の席で、豊田章男社長は「電動化、自動化、コネクテッド化といった新技術が進めば進むほどクルマの可能性が広がり、トヨタの強みがより活かされる時代になっていく。100年に一度の大変革の時代を100年に一度の大チャンスととらえ、自分たちの新しい未来を創造するためのチャレンジをする」と述べている。
そのチャレンジのスタートとして華々しいスタートともなった今回の発表。トヨタはコネクテッド化に加えて自動運転事業の開発も加速させ、大変革時代を勝ち抜くことを目指す。
【参考】トヨタの決算発表に関しては「【速報】トヨタ決算発表、豊田社長「”自動車を作る会社”から”モビリティカンパニー”に」|自動運転ラボ