ゼンリンとMobility Technologies、自動運転などで使う地図の「自動差分抽出」で共同開発

タクシーやトラックのドラレコデータ活用!

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高精度地図のイメージ=出典:Mobility Technologiesプレスリリース

地図大手のゼンリンと交通サービス大手のMobility Technologiesは2020年4月24日までに、ゼンリンが展開するナビシステムや自動運転の際に活用される地図情報のメンテナンス効率化に向け、道路情報の「自動差分抽出」において共同開発を行うと発表した。

両社は具体的に共同開発でどのようなことに取り組むのか。詳しく紐解いていこう。

■タクシーやトラックの映像データを活用

ゼンリンはさまざまな情報を紐付ける空間情報プラットフォームとして位置情報ソリューションの提供を、Mobility Technologiesはタクシーをはじめとしたモビリティ関連事業を、それぞれ展開している。

こうした両社がそれぞれ有するアセットを掛け合わせ、リアルタイムに変化する道路情報に対応した高鮮度なマップ情報データを提供するために、道路情報の自動差分抽出の共同開発を実施するという。

まず、タクシーやトラックに設置されているドライブレコーダーからMobility Technologies側が映像データを取得し、既存の地図情報と実際の道路情報の差分を機械学習で自動抽出する。そしてこの差分情報をゼンリンが活用し、時間軸で差分管理する「時空間データベース」に逐次反映させるというスキームのようだ。

ちなみに映像データは、Mobility Technologiesの交通事故削減支援サービス「DRIVE CHART」を導入している車両からのデータを活用する。同サービスでは車内外を写すドラレコが利用されている。

出典:Mobility Technologiesプレスリリース
■タッグを組むMobility Technologiesって?

ゼンリンに比べると、Mobility Technologiesという会社についてはまだ馴染みがない人も少なくないはずだが、前身の会社は既に多くの人が知っているあの会社だ。簡単に触れておこう。

Mobility Technologiesの前身はタクシー配車アプリ国内最大手のJapanTaxi社だ。JapanTaxi社は、DeNAの配車アプリ「MOV(モブ)」やAI(人工知能)を活用した事故軽減サービス「DRIVE CHART」における事業統合を機に、Mobility Technologiesに社名変更(2020年4月1日付)を行った。

Mobility Technologiesの次世代事業部では交通と社会課題の解決に向けてさまざまな新規事業の開発も進めている。取り組みの一つには空間情報プロジェクトがあり、事業立ち上げに伴い、サーバサイドエンジニアなどを募集している。詳しくは「株式会社Mobility Technologiesの会社情報|Wantedly」も参照。

■【まとめ】期待値が高いMobility Technologiesの取り組み

DeNAはJapanTaxiがタッグを組んで生まれたMobility Technologiesへの期待値は高い。今後の共同開発の進捗に関する発表を楽しみに待ちたい。

ちなみにMobility Technologiesが既に公開している公式サイトは「https://mo-t.com/」だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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