全国初の実証実験が新潟県湯沢町で始まった。ホテル送迎バスと一般乗合バスの乗車券を統一し、サブスク型で移動サービスを展開するという内容だ。実証実験は2021年7月16日に始まり、9月12日まで約3カ月間にわたって実施されるという。
■一定期間、定額料金で両バスを利用可能に
実証実験は、新潟県、湯沢町、湯沢町観光まちづくり機構の3者からなる「湯沢版MaaS推進協議会」が、「湯沢版MaaS」として実施するもので、町民や町への訪問客が移動しやすい環境を整備することが目的。「持続可能な暮らし」もテーマに据えている。
ホテル送迎バスと一般乗合バスの統一サブスク化では、一定期間、定額料金で両バスを利用できるようにする。乗車券は、2日券(500円)、5日券(1,000円)、1カ月券(3,000円)があるという。
これまではホテルの利用者限定にしていたホテル送迎バスを、宿泊客以外も利用できるようにすることで、地域における移動の足が最大限活用されることが見込まれる。
また、一般乗合バスとホテル送迎バスの乗り換えがスムーズになるように、トランジットセンター(交通結節点)を新設したとのことだ。
■タクシー運賃の定額券も試験的導入
ちなみに湯沢版MaaSでは、特定エリアにおけるタクシー運賃の定額券も試験的に導入されている。定額券は1週間券が3,000円、1カ月券が8,000円。ただし、利用回数には上限があり、1週間券では4回、1カ月券では12回が上限となっている。
こうした取り組みは新潟県では初めてで、バスでは網羅しきれない細かい移動をケアするために、MaaSの一環として試験導入するという。タクシーでの移動でもトランジットセンターが活用される。
湯沢版MaaSの詳しい取り組みについては、以下のサイトから閲覧できる。ちなみに、バスの乗車券もタクシーの定額券も「yuûmo(ユーモ)」の愛称がつけられており、yuûmoを提示することで湯沢町内の一部店舗などで割引などが受けられるという。
■【まとめ】ほかの自治体の先行事例に
国が自治体におけるMaaSの取り組みを後押ししていることもあり、各地で実証実験が盛んに行われつつあるが、一般乗合バスとホテル送迎バスの乗車券を統一し、しかもサブスク型で提供するのは初めてのことだ。
取り組みがうまくいけば、ほかの自治体の参考になる良い先行事例となるため、大いに注目を集めそうだ。
▼湯沢モビリティパス yuûmo[ユーモ]
http://www.yuumo-pass.jp/
【参考】関連記事としては「【資料解説】2021年版の国土交通白書、自動運転とMaaSにはどう言及?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)