輸送用機器製造の新明和工業株式会社(本社:兵庫県宝塚市/取締役社長:五十川龍之)は2021年4月7日までに、本社敷地内で実証実験を行い、業界初となる「二段・多段式」の機械式駐車設備への自動運転車による後退駐車に成功したと発表した。
■難易度の高い「バック」での自動駐車を実現
同社は群馬大学と共同で2017年12月から「自動運転自動車の機械式駐車設備利用実現に向けた共同研究」を開始し、2019年7月にはエレベータ方式駐車設備を想定した検証用装置への自動前進駐車を業界で初めて成功させている。
そして今回はさらに難易度の高い「後退」(バック)での自動駐車を実現したという。
報道発表によれば、車路管制や閉塞制御機能を有した「車両誘導システム」を開発したことで、QRコードやセンサーを使って自動運転車を機械式駐車設備まで誘導し、自動扉の開閉を含む一連の駐車操作を自動化することに成功したという。
このほか、自動駐車時の前後車両や人との衝突を防止する仕組みも構築し、報道発表では「人の手を介さず機械式駐車設備への自動バレーパーキングが可能」とされている。
■日本でも盛んになりつつある「自動運転」による駐車の取り組み
自動バレーパーキングの取り組みは日本国内でも盛んになりつつある。
日本自動車研究所(JARI)は2018年11月、自動バレーバーキング機能の実証実験を東京都港区台場のショッピングモール駐車場で実施し、その模様を一般公開した。実証では、車両と管制センター、駐車場インフラが協調して機能を分担し、自動駐車を実演した。
2020年1月には駐車場関連機器メーカーのアマノがアイシン精機と共同で、愛知県名古屋市内の一般駐車場で自動バレーパーキングの実証実験を開始することを発表した。アマノは画像処理技術を活用した駐車場管制システムの開発を進めてきたことで知られる。
2021年2月には、カーナビ開発を手掛けるゼロ・サムが自動バレーパーキングの実証実験を京都府精華町で実施した。自動運転車と一般車両が混在する駐車場を想定した全国初の実証実験で、実証実験では駐車までの最適経路への変更指示などの精度を検証した。
■【まとめ】さまざまな駐車場で技術が導入される日もそう遠くない
日本国内では自動運転レベル3が解禁され、ホンダがレベル3搭載車を発売したことに注目が集まっているが、上記の通り、自動バレーパーキングの取り組みも盛んになりつつある。技術や仕組みが確立され、さまざまな駐車場で導入される日もそう遠くなさそうだ。
【参考】関連記事としては「自動バレーパーキングとは? 自動運転技術を活用 開発企業は?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)