人口約3,000人の北海道の更別村(さらべつむら)はこのほど、道内で唯一、スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書を国に提出した。
「スーパーシティ型国家戦略特別区域」とは、未来の生活を先行実現する「まるごと未来都市」を目指すスーパーシティ構想の実現を図るため、国が特区指定するものだ。
国は2021年4月後半まで区域や先端的サービスに関しての提案書を公募しており、その結果、31の地方公共団体から応募があった。更別村もその地方公共団体の1つだ。今後審査が行われ、区域指定が行われるかが決まる。
▼スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書を提出しました|村からのお知らせ|北海道 十勝 更別村
http://www.sarabetsu.jp/topics/supercity_teiansyo_teisyutsu/
■更別村のスーパービレッジ構想
更別村の提案書では「100歳になってもワクワク働けてしまう奇跡の農村」をキャッチコピーとし、「自動移動」「IoTヘルスケア」「生体認証」「ヘルスインカム」「最先端農業」の5つを先端的サービスとして提案している。
同村はスマートシティ構想に向け「更別村スーパービレッジ推進協議会」を立ち上げている。その中で、2022年に設立予定の「更別村スーパービレッジ・ソーシャル・ベンチャー」のメンバーには、自動運転OS「Autoware」を開発するティアフォーや、空飛ぶクルマに関する事業を行うエアモビリティ社の名前がある。
【参考】関連記事としては「自動運転EVを容易に量産できる未来!MIH×ティアフォーに秘める可能性」「空飛ぶクルマの”インフラ”に挑むエアモビリティ社 離発着場誘導システムなど開発」も参照。
■更別村が目指す「自動移動」とは?
自動移動の領域では「5分でお迎え ヒトもモノも自動移動」というフレーズを掲げ、デマンド交通や自動運転、空飛ぶクルマを活用した「ヒトの移動」と、ドローンでの配送サービスや買い物サービスの「モノ・コトの移動」の2つの観点で取り組む。
「ヒトの移動」では、自動運転を活用したフルデマンドの乗り合い運行で村内移動の効率化を図る。さらに空飛ぶクルマの活用で、周辺100キロ圏内の施設を手軽に利用できるようになるという。
「モノ・コトの移動」では、日用品や医薬品をいつでもすぐに配送できるようにすることを目指す。それに加え、24時間無人営業のスマートストアの整備も推進する。Amazon Goのような無人コンビニが人口約3,000人の村で実現されるか、注目だ。
■【まとめ】人口規模が小さい更別村の挑戦に注目
更別村のような人口規模が小さい自治体がスーパーシティという先端事業に挑戦することは、非常に興味深い。先進技術やサービスの導入は展開エリアが狭いほど、最初は導入しやすい。まずは更別村がスーパーシティの区域指定となるのか、関心が集まる。
【参考】関連記事としては「「自動運転シティ!」と叫びたくなる愛知スーパーシティ構想とは」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)