ロボットメーカーの株式会社テムザック(本社:福岡県宗像市/代表取締役:髙本陽一)はこのほど、次世代通信規格「5G」を活用し、1人乗りの次世代スマートモビリティ「RODEM(ロデム)」の遠隔操作実験を実施したことを発表した。
RODEMは歩道での自動運転化に向けた研究も進めており、将来的には自動充電なども可能にすることを目指している。そのため、自動運転ラボとしてもRODEMの進化に注目している。今回の実証実験ではどのようなことに取り組まれたのだろうか。
■遠隔操作実験で取り組まれた内容は?
少子高齢化が加速している昨今、公共交通機関から自宅までの「ラストワンマイル」の移動手段の確保が課題となっている。同社はRODEMをラストワンマイルを支える一つの移動手段として、開発を進めている。
今回の実験は、京都府精華町の関西文化学術研究都市(通称:けいはんな学研都市)内にある「けいはんなオープンイノベーションセンター」(KICK)で実施され、RODEMの前後左右のカメラ4台から5Gを通じて映像をコントロール室へ伝送し、タイムタグの計測や操作性のテストなどを行った。
遠隔操作でRODEMの直線走行や横断歩道の走行、駐車などの動きも確認し、遠隔操作の有用性の検証も行った。まさに実用化に向けた具体的な検証を行った実験だったと言えよう。
ちなみに今回の実証実験は、オムロン子会社のオムロンソーシアルソリューションズやNTTドコモと協力して実施された。
■RODEMは将来、乗り捨て型のシェアサービスで活躍!?
RODEMは短い距離の移動に適しており、簡単に操作できることや小回りが効く設計によって狭い場所での旋回もスムーズにできることも特徴として挙げられる。今回使用された実験用モデルは最高時速6キロで、道路交通法上「歩行者」に分類されるため、歩道での走行も可能となっているという。
将来的にはRODEMのシェアサービスの展開も想定されている。イメージとしては、ユーザーは充電ステーションに配置されているRODEMをレンタルし、移動中はRODEMが多言語対応で経路案内や観光ガイドに役立ってくれるイメージだ。
そしてRODEMに自動運転機能が搭載されていれば、ユーザーがRODEMをどこで乗り捨ててもRODEMは自動運転(自律走行)によって近くの充電ステーションに自ら戻ることができ、ユーザーは返却時にわざわざレンタルした場所に戻る必要がなくなる。その利便性の高さは利用者増に寄与するはずだ。
■【まとめ】MaaSサービスにおいても活躍に期待
テムザックはこれまでにも複数回の実証実験を行っており、自動運転やシェアリングの実現に向けた開発は順調にみえる。ラストワンマイル向けのパーソナルモビリティはMaaSサービスにおいても活躍が期待されており、同社の今後の開発の進展に引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「未来感たっぷり!近距離用モビリティ「RODEM」が丸の内に 将来は自動運転機能も搭載へ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)