大阪府が「2025年大阪・関西万博」での空飛ぶクルマの導入に向け、本腰を入れている。令和3年度(2021年度)の予算案で「空飛ぶクルマ社会実装推進事業費」として2,000万円を新規計上し、社会実装に向けた取り組みを加速する考えだ。
空飛ぶクルマについては、2018年に「空の移動革命に向けた官民協議会」でロードマップが取りまとめられ、2023年の事業開始、2030年の本格普及が目指されている。そんな中、2025年の万博での空飛ぶクルマの導入は、本格普及に向けての重要なマイルストーンとなる。
■ラウンドテーブルの運営支援や実証実験を補助
大阪府が2021年度予算案で計上した2,000万円は、空飛ぶクルマの実用化に向けた議論や取り組みを加速化させる目的で使用される。「ラウンドテーブル協議運営支援、調査・検討委託」に1,000万円を充て、残りの1,000万円は「実証実験補助費用」に充てる。
前者における「ラウンドテーブル」とは、2020年11月に設立された「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」のことだ。現在は42企業・機関が参加している。
後者の「実証実験補助費用」では、府内で実施するプロジェクトの経費の2分の1(上限500万円)を補助するという。2021年度は対象プロジェクトの2〜3件程度の実施を見込んでいるようだ。
このような予算を通じ、2021年度中には「大阪版ロードマップの策定」と「国への提言の取りまとめ」を実施するとあり、スピード感を持って取り組もうという大阪府の姿勢が伝わってくる。
■吉村知事「川の上と海の上を通ったらええやんか」
ちなみに吉村洋文知事は2021年度予算案に関する記者会見で、以下のように述べている。
僕は、2025年に、海の交通、舟運がかなり発達していると思いますし、発達させるべきだと思っています。だから、その仕組みづくりを、まさに今日の予算もそうですけど、やっているということです。ものすごいポテンシャルがあるのが、僕は大阪は海、ベイエリアだと思っていまして、あと、川です。空飛ぶクルマなんかも、実は川と海があるから、その上を通ったら行けるじゃないかというのが僕の着眼で、まずこれをやろうよということで、川の上と海の上を通ったらええやんかというのは、今、もうかなり大阪でやることについて現実化してきていますし〜(以下略)
出典:令和3年(2021年)2月18日 知事記者会見内容(http://www.pref.osaka.lg.jp/koho/kaiken2/20210218.html)
日本国内でもSkyDrive社や東大発スタートアップのテトラ・アビエーションなどが、空飛ぶクルマの実用化に向けて開発を進める中、こうした都道府県の長による積極的な発言は心強いさを感じる。
2025年の万博を契機に、日本における空飛ぶクルマの社会実装が加速していくのか、長期的な視点で注目していきたい。
【参考】関連記事としては「「空飛ぶクルマ」とは?2020年代に実現濃厚…基礎知識を徹底解説」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)