国土交通省は2020年3月25日までに、「MaaS関連データの連携に関するガイドライン Ver.1.0」を策定したと発表した。
このガイドラインでは、MaaSにおけるデータ連携では関連するデータが「円滑に、かつ、安全に連携されることが重要」と示された上で、情報の取り扱い方法などについて詳しく説明されている。
自動運転ラボでは以前、このガイドラインの素案を「【資料解説】MaaS関連データ連携のガイドライン、国交省が素案を発表」で説明している。詳しい解説はその記事に譲るが、この記事では特にガイドラインでポイントとなる「データ連携を行う上でのルール」について紹介していこう。
■データ連携を行う上でのルールとは?
MaaSの最終形は、複数の移動サービスを一つのプラットフォームで検索・予約・決済できるようになることだと言われている。そのためこうしたMaaSサービスを実用化する際には、プラットフォーム運営者や移動サービスの提供者など、さまざまな事業者が関連データを取り扱うことになる。
今回策定された「MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0」では、こうした事業者がデータ連携を行う上でのルールなどを定めている。このルールに則ってデータが利用・共有されることで、プライバシー保護やデータ形式の標準化が進むことなどが期待される。
例えば「移動関連データの取扱い」については下記のように説明されている。
移動関連データは、匿名化等の必要な処理を施したうえで、プラットフォーム運営者及びデータ提供者に共有されることが望ましい
地方公共団体が地域の交通計画やまちづくり計画等の策定のために用いる場合に、移動関連データが提供されることが望ましい
一方で「関係者間でのデータの取扱い」については、下記のように説明されている。
データ提供者:各交通事業者は以下のいずれかを実施し、MaaSプラットフォームにデータ提供等を行う。
・各主体が有するデータの形式、規格、用語の意味等を公開
・データの項目ごとに使用する単語の意味を交通モードごとに統一化
・交通モードごとにデータ形式の標準化(バス、フェリーでは標準フォーマット=GTFS=を推奨)
データ利用者、プラットフォーム運営者、MaaSプラットフォーム間の連携等
■MaaSに必要となるデータの分類も
ガイドラインではそのほか、MaaSに必要となるデータを「公共交通等関連データ」「MaaS予約・決済データ」「移動関連データ」「関連分野データ」に整理し、説明するなどしている。
概要については「MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0 概要」から、ガイドラインの本文は「MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0 本文」から閲覧することが可能だ。
特にMaaSサービスの提供にこれから取り組もうとしている事業者には、必読のガイドラインであると言える。
【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)