新聞やニュースなどでMaaSという言葉を目にすることが多くなってきた。国内でも大手企業や政府が旗振り役となって、様々な交通事業者とサービスを連携させて新しい移動サービスの構築に取り組んでいる。
MaaSが普及すると現在のビジネスモデルががらりと変わると言われている。では具体的にはどう変わるのだろうか。
経済産業省が主催する「シリコンバレーD-Labプロジェクト」が2019年4月に発表した「レポート」では、ビジネスモデルの変化を「対価」「モビリティ」「差別化要因」「補修、メンテ」「競争アプローチ」という5つの視点から予想している。
■①対価
MaaSが普及すると、ユーザーが対価を支払って得るのは「クルマ」ではなく「移動サービス」になる。移動する道具に対して費用を払うのではなく、移動するサービスそのものにコストを支払うようになるということだ。
■②モビリティ
現在日本をはじめとする先進国では車を購入して自宅で所有するのが当たり前だが、このような概念も変わってくるだろう。カーシェアやライドシェアの普及によって、車は共有して必要な時だけ呼び出して使う、という使い方が主流になってくる。
■③差別化要因
ユーザーが複数のサービスを比較検討する際の差別化要因も変化する。車を購入するときは性能やデザインなどハード自体の価値やブランド力で判断するが、購入対象がモノではなくなるため、かかる時間、費用、利便性など「何を得られるのか」といった視点でサービスを選ぶことになるだろう。
■④補修、メンテ
オイル・タイヤ交換や洗車・車検といった車両自体のメンテナンスも個人で行うのが一般的だが、MaaS普及後はサービスを運営する企業が行うことになる。休日のガレージで洗車を行う人が減り、洗車場やカー用品店などの数も少なくなるかもしれない。
■⑤競争アプローチ
市場でシェアを獲得するための競争アプローチも変化するという。ハードの高性能化や低価格化といった手法から、サービス自体の稼働率や、それによる運営コストの削減などが求められるようになる。
■【まとめ】未来では「当たり前」に
レポートではこのようなサービスモデルの変化の事例として、音楽や映像コンテンツが販売モデルから定額制のオンデマンド配信サービスに変化している例が挙げられている。MaaS普及による移動の変化も、最初は違和感があるものの、普及してしまえばあっという間に当たり前になってしまうのかもしれない。
【参考】関連記事としては「MaaSとは? 読み方や意味・仕組み、サービス・導入事例まとめ|自動運転ラボ」も参照。