西日本旅客鉄道(JR西日本)は島根県邑南町と「地方版MaaS」の構築に向けた協定を締結し、2020年4月1日から配車システムの実証実験をスタートさせた。
地域公共交通のデジタル・キャッシュレス化や町内観光素材(鉄道資産やA級グルメなど)との連携と情報発信、生活関連サービス(病院やスーパーなど)との連携、都市エリアとのつながり、の4つの項目で連携していくという。
■配車システム導入でデマンド交通化
今回の実証実験が始まったことにより、邑南町内を走る「三江線代替交通」は時刻表やルートに縛られないデマンド交通となり、配車システムが導入される。利用者は電話で予約し、オペレーターが配車管理システムを操作して配車指示を出す仕組みだ。配車指示を受けたドライバーは車上タブレットで配車の受領を行い、目的地へ移動する。
実施主体は実験全体を運営する邑南町と実験全体を支援するJR西日本、デマンドタクシーの運行と配車システム運行を行う特定非営利活動法人はすみ振興会、配車システム設計を行う電脳交通の4者だ。
JR西日本はMaaSの取り組みに積極的だ。2019年2月には兵庫県で電脳交通などとともに観光客向けのタクシー乗り放題サービスの実証実験を行っている。10月には「MaaS推進部」を設置し、関西の鉄道会社7社との共同検討についても発表した。瀬戸内エリアにおける観光型MaaSの実証にも取り組んでいる。
電脳交通はタクシー配車システムの開発・提供などを手掛けており、全国で3,000台のタクシーが同社のシステムを利用している。JR西日本のCVCであるJR西日本イノベーションズの出資先企業でもあり、最近注目を集めている企業だ。
■【まとめ】進むデジタル化とキャッシュレス社会
今回の取り組みをきっかけに移動の利便性向上のほか、邑南町の地域公共交通のデジタル化とキャッシュレス化が一気に進む可能性が出てきた。移動のイノベーションが進むか、今後も注目していきたい。
【参考】関連記事としては「MaaSの3類型「都市版」「地方版」「観光型」、それぞれのメリットは?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)