パイオニア子会社でデジタル地図を手掛けるインクリメント・ピー株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:相木孝仁)は2021年6月3日までに、オランダの位置情報サービス大手HERE Technologiesが提供する「HERE Marketplace」に地図データを提供することを発表した。
HERE Marketplaceは「世界各地の位置情報を一元化し企業取引をシームレスに行うためのプラットフォーム」だ。企業などがこのプラットフォームを利用することで、世界各地の位置情報データを検索・購入、データ提供元のユーザーとのマッチングも可能になる。
インクリメントPによる今回のデータの提供で、業界における自動運転技術の開発スピードの底上げのほか、外資系企業が日本の地図情報を活用してデリバリーサービスを展開することや商圏分析などで活用されることも見込まれる。
■2005年以降に蓄積したデータを提供
インクリメントPはデジタル地図整備を業界でいち早く開始したことで知られる。
今回HERE Marketplaceに提供されるデータは、インクリメントPが2005年以降に行ってきた全国125万キロ、延べ660万キロの走行調査で収集した地図データと、創業以来整備を進めてきたカーナビ向けの地図データをパッケージ化したものだ。
提供するデータセットは「MapFan DB」と呼ばれ、独自の地図整備システムを構築し、カーナビ向けの道路ネットワークデータをはじめ建物形状などを含む詳細な地図データ、日本特有の住所事情に対応した住所データ、目的地の検索や分析などにも使えるスポット(施設)データなど多種多様な内容となっている。
また、住所の表記揺れを統一する「住所クレンジングAPI」や、マーケティングなどでの活用が期待できる街や道路の将来的な変化についての情報も提供している。
■多用な企業から信頼を得ているデータセット
インクリメントPとHERE Technologiesの協業は2017年2月の戦略的提携合意から始まっている。
2019年5月にはインクリメントPの地図データを取り込んだ「HERE location platform」の日本地域版をリリース、そして今回インクリメントPのデータセットをHERE Marketplaceに提供という今回の流れだ。
インクリメントPが持つ地図データベースは、パイオニアをはじめ三菱電機やケンウッド製カーナビ、iPhoneマップに使用されるなど多様な企業から信頼を得ている。今後の商業展開の方向性にも注目だ。
【参考】関連記事としては「インクリメントP、自動運転向けの地図データ整備にも注力」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)