タクシータブレット動画広告「GROWTH」、訴求力や掲載方法まとめ みんなのタクシーとベクトルで展開

都内1万台超で約700万人にリーチ

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出典:ベクトル社プレスリリース

みんなのタクシー株式会社(本社:東京都台東区/代表取締役:西浦賢治)が2019年4月、後部座席IoTサイネージサービス「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」(グロース、以下GROWTH)とタクシー配車アプリ「S.RIDE(エスライド)」の提供を開始した。

配車アプリは5強体制が整い、激烈な競争はピークに達しつつある。また、タブレットを活用した動画広告サービスも大手3社目の参入により、つばぜり合いからいよいよ大立ち回りが始まろうとしている印象だ。

みんなのタクシーが提供する「GROWTH」はどのようなサービスなのか。以下、概要を紹介する。

■GROWTHの概要

みんなのタクシーと総合PR会社の株式会社ベクトル(本社:東京都港区/代表取締役:西江肇司)がパートナーシップを結び、2019年4月に開始した提携タクシー車両における後部座席IoTサイネージサービス。「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」という名称には、「加速」と「波及」をテーマに、関わる企業・サービスのGROWTH(=成長)を後押しするという思いが込められている。

全広告・コンテンツは約18分に編成され、乗客が乗車した後に放映開始し、降車までループ再生される仕組み。映像広告は「First View」「Business View」「Economy View」の3つのメニューで構成されている。タクシーの後部座席というプライベートな空間で、音声付きの10.1インチの大画面に高精細な映像を流し、広告認知と想起度向上につなげることとしている。月間リーチ数は都内約700万人を誇る。

ユーザーの視聴意向を高めるためのコンテンツも充実させており、都内のビジネス層に向けたオリジナルの映像・静止画コンテンツを配信する。ソーシャル経済メディア「NewsPicks」では、国内外の最先端の経済ニュースから、教養を深めるための最先端の実学をコンテンツとして提供する。また、ライフスタイルマガジン「OPENERS」では、ファッションやビューティー、クルマ、時計、デザイン、旅、食、カルチャーなど、スマートライフにまつわるさまざまなテーマについて、独自視点で編集したコンテンツを毎日更新するとしている。

■みんなのタクシーとベクトルの強み

みんなのタクシーは、都内タクシー会社5社(グリーンキャブ、国際自動車、寿交通、大和自動車交通、チェッカーキャブ)とソニー及びソニーペイメントサービスの7社による合弁企業で、2018年5月に設立された。タクシー会社5社が保有するタクシー車両は都内最大規模となる1万台超を数える。

また、同社は個人タクシー事業者約7500台が加入する東京都個人タクシー協同組合とも2018年11月に提携を交わしており、配車や決済代行、後部座席広告のサービスを提供することとしている。

2019年4月には、配車サービスや決済代行サービスが可能なタクシー配車アプリ「S.RIDE」の提供も東京都内で開始しており、都内における存在感を飛躍的に高めている印象だ。

一方のベクトルは、年間約2万5000 社の安定的な顧客基盤を有する総合PR会社で、映像製作から動画広告配信まで幅広いサービスを提供する子会社を複数所有しており、急成長する動画広告市場や顧客ニーズに対応可能だ。

みんなのタクシーを構成する主要タクシー事業者とソニー系のテクノロジー、ベクトルの宣伝力や企画力、コンテンツ製作能力などが合わせることで、先行するJapanTaxi(Tokyo Prime)やDeNA(Premium Taxi Vision by DeNA)を追い上げる構えだ。

■広告について

ベクトルは2019年5月28日から2019年7~9月分の広告枠の販売開始を発表しており、新たな広告メニューとして、商品認知から体験までを可能にする乗客向けサンプリングサービスや、放映課金式で時間帯や曜日指定が可能となる「TARGET VIEW」を加えるとしている。

サンプリングサービスは、次世代タクシー「JPN TAXI」300台で、サイネージの映像放映とセットで乗客が降車する際に商材・サービス製品を提供することで、サイネージによる商品認知からサンプル製品による体験まで一気通貫で広告効果を最大限高める。

出典:ベクトル社プレスリリース

一方、「TARGET VIEW」は、例えば平日朝の通勤時間帯に都内のビジネスパーソンに向けて広告情報を届けたい場合、「平日(月〜金)×通勤の時間帯(6:00-9:00)」を指定するなど、放映課金式でアプローチしたいターゲットを明確化することができるサービスとなっている。

■【まとめ】主要3社出揃い、タブレット動画広告争奪戦激化の様相

タクシー配車アプリでしのぎを削るJapanTaxiとDeNA(MOV)、みんなのタクシー(S.RIDE)、DiDi、Uberのうち、国内系3社がタブレット端末を有効活用したデジタルサイネージ広告に本格着手した。

残るDiDiとUberの動向に注目が集まるが、そのカギを握るのがソフトバンクグループだ。DiDiは日本進出の際ソフトバンクの出資を受けてDiDiモビリティジャパンを設立しており、Uberの親会社はソフトバンクとトヨタ自動車などから強力な支援を受けている。

ソフトバンクはすでにデジタルサイネージソリューション開発を手掛けており、近年は自動運転技術を活用したMaaS(移動のサービス化)関連事業に力を入れている。これらを活用した新たなサービスの開発を進めていても驚くことはなく、むしろ必然と言えるだろう。

今のところ、みんなのタクシー、JapanTaxi、DeNAのデジタルサイネージ広告はほぼ同様のサービス内容だが、みんなのタクシーのサンプリングサービスや「TARGET VIEW」などのように、広告効果を高めるコンテンツが今後多様化するものと思われる。

配車アプリ競争とともに、タブレット動画広告の争奪戦も早くも火花が散っている印象だ。

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