いち早く自動運転化されると思われる乗り物の1つに、低速走行が前提とされる「グリーンスローモビリティ」がある。低速であれば仮に事故が起きたときの大けがのリスクも小さいからだ。すでに実証実験も盛んに行われつつある。
この記事では、改めてグリーンスローモビリティの基礎知識を紹介した上で、自動運転に向けた実証実験などの一例も説明していく。
■グリーンスローモビリティとは?
グリーンスローモビリティとは「電動で時速20キロメートル未満で公道を走る4人乗り以上のモビリティ」(※国土交通省の参考資料より)といった車両のことを指す。
高齢化が進んでいる地域での生活インフラや観光案内やイベントなど、さまざまな場面での活用が見込まれている。
一般的にはゴルフカートタイプとバスタイプの車両があり、充電式で電動走行可能なことが特徴だ。電動のため有害ガスなどを排出せず、環境に優しい乗り物と言える。
ちなみに国土交通省はグリーンスローモビリティの強みとして、以下の5点を紹介している。
- Green〜環境に優しい電気自動車、家庭用コンセントで充電可
- Slow〜時速20キロ未満のため観光に最適
- Safety〜速度制限があるため安全で高齢者も運転できる
- Small〜小型のため狭い道でも走行できる
- Open〜窓がないため開放感がある
■自動運転化に向けた取り組みの一例
すでにグリーンスローモビリティを自動運転化しようという取り組みは、実施例が少なくない。自動運転の方式としては、電磁誘導線を敷いた道路を走行する方式と、AIやセンサーで自律走行する方式が考えられる。
例えば石川県輪島市では、電磁誘導線を引いた方式で実証実験を実施している。ヤマハ発動機のゴルフカートをベースにしたグリーンスローモビリティを活用し、ショッピングモールや病院、駅などをつなぐコースを自動走行するというものだ。
■【まとめ】普及のスピードが早まることに期待
2015年に締結されたパリ協定に基づき、国際的に温室効果ガスを減らす取り組みが盛んになっている。しかし単純に環境に良いだけでは、経済や地域の問題は解決しない。
そこで重要となるのが「環境・経済・地域のバランス」だ。グリーンスローモビリティは、環境に優しいことに加え、地域的な問題の解決や事業性への可能性に期待が寄せられている。
グリーンスローモビリティの自動運転化が実現すれば、初期導入コストは掛かるもののその後の運用コストは抑えられるため、普及のスピードが早まることも考えられそうだ。
【参考】関連記事としては「MONET、スローモビリティ実証にオンデマンド配車システム提供」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)