BOLDLY株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:佐治友基)=ボードリー=は2020年6月26日までに、交通事業者が自動運転車両を運行するためのシステム「Dispatcher(ディスパッチャー)」と自動運転車両や様々な周辺システムを簡単に接続することができるアーキテクチャである「Dispatcherコネクト」のリリースを発表した。
このDispatcherコネクトとはどのようなものなのか。ボードリー社の概要やこれまでの取り組みを含め、紹介していこう。
■SBドライブから改名したボードリー社
ボードリー社は2016年、ソフトバンクと先進モビリティ社の合弁でスマートモビリティのサービスを行う「SBドライブ株式会社」として誕生した。
自動運転車両運行プラットフォームである「Dispatcher」を開発して自動運転技術を活用した数々の実証実験に取り組んでおり、2019年7月には東京都港区でハンドルがない自動運転バスの走行実験を一般車や歩行者と混在環境で行っている。
また、2020年4月1日には「『より太い』交通網の構築に『大胆に』挑戦する」との思いから、社名を現在のBOLDLY株式会社に変更している。現在は茨城県境町での国内初の定路線自動運転バスの運行に向け、準備を着々と進めている。
【参考】関連記事としては「国内初の”定路線”自動運転バス、半年延期も準備着々 BOLDLYが進捗発表」も参照。
■Dispatcherで自動運転車を遠隔監視
Dispatcherは自動運転車両の運行システムとして、先にも述べたように数々の実証実験に使われている。
実際の機能としては、自動運転車両を遠隔監視して、ダイヤ走行やオンデマンド走行などのルールに従った走行の指示を出し、緊急時には車内の乗客とコミュニケーションを取って対応するなどの機能がある。
運転手がいない状態で自動運転車両を人流・物流のサービス車両として使うには、従来から遠隔監視をしていた部分(バスの運行管理センターのようなもの)と運転手が判断していた部分を両方担わなければいけない。
また、人流と物流、大型車と小型車などではオペレーションが変わってくるが、Dispatcherではさまざまな車種に対応し、人流・物流の両方に利用できるとあって、自動運転車両の運行システムとしての実績をあげている。
【参考】Dispatcherについては「https://www.softbank.jp/drive/service/dispatcher/」も参照。
■Dispatcherコネクトが開く自動運転MaaSの未来
今回リリースしたDispatcherコネクトは、自動運転車とDispatcherを簡単に接続し、短期間で交通サービスとして導入するためのアーキテクチャである。
自動運転車両とDispatcherとは「SDKの提供」「APIの提供」「車載 PCの導入」という3つの方法で接続できるため、様々な車両に対応が可能となっている。2020年6月現在では16車種に接続されているとされ、今後も増加が予想される。
交通事業者はDispatcherコネクトを介して簡単に複数種類の自動運転車を利用したサービスを提供することが可能となっている。APIを利用して車両情報や運行情報の受け取りなど外部情報とのやり取りができるため、これまでと比べ車両との接続部分の開発工数が削減可能となる。
■【まとめ】自動運転界で存在感を増すボードリー社
自動運転車の運行管理システムであるDispatcherと、それを様々な車両や他社のシステムに接続できるDispatcherコネクトは、自動運転車両のサービス化をより速く実現してくれる。
同社はDispatcherコネクトをよりオープンなものにしたいと考えており、接続先の企業を広く募っている。多くの接続先が生まれることにより、自動運転車のプラットフォーマーとの位置を確立しようという狙いであろう。
【参考】関連記事としては「BOLDLYの自動運転実証、2019年度は「23回」 5413人が試乗」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)