新型コロナウイルスの影響で世界各地で外出が規制される中、無人配送ロボットは人々に生活物資を届け活躍している。
そのリーディング企業となるのが、米スタートアップ企業のStarship Technologies社(本社:米カリフォルニア州サンフランシスコ/最高経営責任者:レックス・ベイヤー)だ。
電動無人配送ロボットは2020年6月現在までに10万回以上の配送をおこなっており、欧米の各都市で既に「普通のサービス」として認識され始めている。
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■Starship Technologies社の概要
Starship Technologies社は2014年にSkypeの2人の共同創設者であるAhti Heinla氏とJanus Friis氏によって設立された企業だ。
彼らの開発した6輪の「スターシップロボット」は2015年に走行を開始して以来、2017年8月までに100の都市でテストを行い、2018年に英ロンドン近郊のミルトンケインで商用サービスを開始している。
2018年6月には2500万ドル、2019年8月には4000万ドルの資金調達を成功させたことからも彼らの技術とサービスに注目が集まっていることがうかがい知れる。
現在は米カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置いているが、技術開発拠点はエストニアのタリンにあり、欧米を中心にサービスを拡大させているところだ。
■スターシップロボットはどのように配達してくれるのか?
スターシップロボットの配達の様子はこちらの動画などから見ることができる。
スターシップロボットには6つの車輪がついていて、重さは45キロ以下である。半径6キロ以内の地域にものを運ぶことができ、その移動速度はおよそ歩行者と同じとなっている。
運べる量は、約9キロ、スーパーのビニール袋約2つ分で、1人の注文者に対して1台のロボットが専用で配達し、配達中は厳重にロックされているので、注文者がスマートフォンで開錠しないかぎり中を開けることはできない。
注文者はスマートフォンのアプリを使って注文し、ロボットは店舗から直接自宅(または配送先の場所)に来てくれる。その間ロボットがどこにいるかはスマートフォンアプリで追跡できるようになっている。
またこのロボットは道路の横断、縁石を乗り上げての走行、夜間や雨や雪でも動くことができるので、たいていの場所への自律配送が可能である。
■多くの都市に拡大する無人配送サービス
スターシップロボットのサービスは2018年ミルトンケインズで始まって以来、着実にサービスを拡大させてきた。米国ではアリゾナ州テンペ、ワシントンD.C.、カリフォルニア州アーバイン、カリフォルニア州マウンテンビュー、テキサス州フリスコなどでもサービスを開始しており、ミルトンケインズにおいてもサービス地域を拡大させている。
大学においての無人配送サービスについても強化しており、2021年の夏の終わりまでに100の大学に拡大する計画を発表している。今回新型コロナウイルスの影響で大学は閉鎖されているが、留学生などが居住している大学キャンパスにおいては引き続き配達サービスを提供している。
■コロナ禍で追い風のサービス、日本でも実用化できるか?
スターシップロボットは新型コロナウイルス拡大以前から無人配送を拡大していたものの、外出が規制された中での需要は格段に上がっている。
Starship Technologies社の幹部であるライアン・トーヒ氏は、ミルトンケインズでロックダウンが起こった結果、「一夜にしてビジネスが2倍になった」と語っている。同社はさらに地域のスーパーマーケットと協力し、サービスを拡大する計画だ。
このように無人配送が広まっている中、日本ではどうだろうか。公道での自動走行が難しい中、ZMP社の無人宅配ロボット「デリロ」が公道を含めた実証実験を提案しているというニュースもある。屋内での無人配送の事例も増えてきている。
安倍首相が公道実証について「2020年、可能な限り早期に」と最近発言した無人配送ロボット。欧米で「普通のサービス」として広まっていく中で、日本でもこのようなロボットが街のあちこちで活躍する日も遠くなさそうだ。
【参考】関連記事としては「首相が喝!自動運転配送ロボの公道実証「2020年、可能な限り早期に」」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)