米国では、ドライバーがいない自動運転車が走る姿は見慣れたものになりつつある。しかしアイオワ州で、「危険物」を積んでドライバーレスでの自動運転走行を禁止する法律が施行されるようだ。
この法案では、自動運転車が事故を起こしたり交通違反をしたりした場合、その車の所有者が責任を負うという内容も盛り込まれている。これに対し、米国自動車イノベーション協会や大手自動車メーカーが反発している。
法案の概要では、どんなものが危険物と見なされるかについての説明が「曖昧」だというのがその理由だ。また空港のような場所で自動運転車が乗客を輸送するようなケースを事実上禁止することになり、商用利用の自動運転車の実用化を妨げることになると考えられているためだ。
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■危険物を積載しての自動運転が禁止に
アイオワ州で議論されている法案「House Study Bill 598(HSB 598)」は、自動運転車の運行に関する責任や刑事責任について定めることを目的としている。具体的には、下記2点の規制が含まれている。
- 自動運転車が事故や交通違反をした場合、オーナー(車の所有者)に責任を負わせる
- 運転者(人)がいない状態で危険物を積載して自動運転で運ぶことを禁止する
▼House Study Bill 598
https://www.legis.iowa.gov/legislation/BillBook?ba=HSB598
危険物の定義としては、「商業輸送において、健康・安全・財産に対して不当なリスクをもたらす可能性があると米国運輸長官が判断した物質・材料」との説明がある。これに対し、米国自動車イノベーション協会を代表してMichael Triplett氏が「極めて曖昧」と指摘している。
また自動運転モード作動中の事故や交通違反の責任の所在についてもTriplett氏は、「自動運転モードで青信号の交差点を走行中に、飲酒運転の車が赤信号を無視して側面衝突してきた場合でも、この法案では自動運転車のドライバーが責任を負うことになるのではないか」と反発している。
さらに同氏は、いくつかの空港ではターミナルから駐車場やレンタカーエリアまで乗客を輸送するために自動運転車が使用されており、この法案の下ではそうしたサービスは人間の運転手が同乗していなければアイオワ州では運営できなくなると主張した。
■GMは反発、Uberは態度示さず
米国最大手の自動車メーカーであるゼネラル・モーターズ(GM)も、同様に反対の姿勢を示している。
自動運転事業も手掛ける配車最大手のUber Technologiesは、この法案に対する態度を「未定」としており、いずれの小委員会でも代表者は発言しなかったようだ。
■法案議論の背景は?
米国の労働組合における地方支部の1つである「Teamsters Local 238」を代表して発言したTamara Marcus氏は、主に公共の安全への懸念から、同組合はこの法案を支持していると述べた。そして「自動運転技術は商用車両を安全に公道で走らせるには、まだ十分に成熟していない」と語った。
またアイオワ州の原告側弁護士団体もこの法案を支持しており、「州議会がまだ発展途上にある業界や問題を規制することは、決して珍しいことではない」とのコメントを出している。
しかし弁護士団体の代表者は、「技術が整った段階で、この法律を撤廃し車内に人がいなくてもよいとすることは可能だ」ともしている。ただし高速道路や市街地を走る商用車両については、人間のドライバーが必要だという姿勢は崩していない。
技術の進化が進む自動運転車だが、まだ完全に安心・安全とは言えないような事故やトラブルもたびたび起きている。特に危険物を運ぶトラックなどを自動運転化するのは、時期尚早なのかもしれない。議論の行方に注目したい。
【参考】関連記事としては「自動運転関連の法律・ルール解説(日本・海外)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)