自家用車活用事業、通称日本版ライドシェアがスタートして約8カ月が経過した。本格版ライドシェア解禁議論は今も火種がくすぶっているが、日本版も都市部では新サービスとして定着してきた感を受ける。
国土交通省の統計によると、一般ドライバーの1時間帯当たりの運行回数は名古屋市を中心とする愛知エリアで平均1.7回を記録した。これは、一般タクシーの全国平均である0.7回の約2.4倍に相当する数字だ。
暫定的に導入された制度だが、その利用実態はどのようになっているのか。大都市部とその他エリアに分けて現状を見ていこう。
【参考】関連記事としては「GO社長が語る「ライドシェアとの向き合い方」 上場理由の一つに「川鍋会長の影響力排除」」も参照。
記事の目次
編集部おすすめサービス<PR> | |
車業界への転職はパソナで!(転職エージェント) 転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を |
|
タクシーアプリなら「GO」(配車アプリ) クーポン超充実!「実質無料」のチャンスも! |
|
新車が月5,500円〜!ニコノリ(車のカーリース) 維持費コミコミ!頭金は0円でOK! |
|
自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり) 「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今! |
編集部おすすめサービス<PR> | |
パソナキャリア | |
転職後の平均年収837〜1,015万円 | |
タクシーアプリ GO | |
クーポンが充実!「乗車無料」のチャンス | |
ニコノリ | |
新車が月5,500円〜!頭金0円でOK! | |
スクエアbang! | |
「最も安い」自動車保険を提案! |
■日本ライドシェア導入状況
タクシー事業のもと一般ドライバーによる旅客輸送を可能に
日本版ライドシェアは、同事業を導入しているエリアにおいて、タクシー事業者のもと一般ドライバーが旅客運送を行う新制度だ。一般ドライバーは、同事業に参加するタクシー事業者にパートなどの形で雇用され、簡単な教育・訓練を受けた後に配車依頼に基づきサービスを提供する。
サービス提供時間は基本的にタクシー供給が不足する時間帯などに限られているため、好きな時間に好きなだけ働くといった副業的な働き方はできず不便な点も多いが、2種免許なしで旅客運送を行うことができるなどのメリットもある。タクシードライバーのお試し制度と捉えればアリだろう。
一方、乗客はライドシェア車両がマッチングされた場合、拒否して通常のタクシーを選ぶこともできる。気にしない人やとにかく早く乗りたい人はライドシェアを選択することもできるし、嫌な人は少し待ち時間が長くなるかもしれないが従来通りのサービスを受けることができるのだ。
2024年12月現在、大都市部12エリア、その他92エリアの計104エリアでサービスが提供されている。全体の総計では、登録ドライバー数5,985人、稼働台数7万1,884台、累計運行回数40万3,794回、1台1時間当たりの平均運行回数0.3回となっている。
▼日本版ライドシェア(自家用車活用事業)関係情報
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr3_000051.html
▼日本版ライドシェア(道路運送法第78条第3号自家用車活用事業)の実施事業者数
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001854926.pdf
大都市部は概ね良好に推移、平均運行回数は愛知がトップ
2024年12月22日時点における大都市部では、北海道(札幌)エリアで登録ドライバー126人、累計運行回数2,629回、1台1時間当たりの平均運行回数1.1回となっている。
同様に、宮城(仙台市)エリアは80人・1,287回・1回、埼玉(県南中央)エリアは219人・1万5,820回・0.4回、千葉(千葉)エリアは48人・2,022回・0.9回、東京(特別区・武三)エリアは2,876人・26万4,449回・1.5回、神奈川(京浜)エリアは492人・2万5,846回・1.1回、愛知(名古屋)エリアは90人・1,824回・1.7回、京都(京都市域)エリアは397人・2万8,669回・1回、大阪(大阪市域)エリアは519人・9,686回・1.1回、兵庫(神戸市域)エリアは218人・9,527回・0.4回、広島(広島)エリアは79人・6,015回・1.1回、福岡(福岡)エリアは290人・2万3,727回・0.9回となっている。
埼玉と兵庫以外のエリアは、一般タクシーの1台1時間あたりの平均運行回数0.7回を上回る稼働を見せているようだ。
トップの愛知は、登録ドライバー数、運行回数ともに他のエリアに比べ少ない。一方、国土交通省が指定した名古屋交通圏の対象エリアは、名古屋市、瀬戸市、津島市、尾張旭市、豊明市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、あま市、長久手市、愛知郡、西春日井郡、海部郡――と広く、日本版ライドシェアの許可事業者は39に上る。
少数が効率よくライドシェア需要に対応しているのだろうか。あるいは、他エリアに比べ供給不足が顕著な時間帯があり、非常に待ち時間が長いため――といった可能性も考えられる。
地域特有の要因によるものなのか、効率的な仕組みが存在するのか。今後の分析に期待したい。
地方は苦戦、未だ利用ゼロのエリアも……
一方、その他エリアは明らかに苦戦が目立つ。平均運行回数は、観光地の軽井沢エリアが0.5回でトップとなり、富山(富山)エリアと埼玉(県南東部)エリアが0.4回と続く。ドライバーは、2時間に1回運行すれば多いほうなのだ。
平均0.1回は20エリア、0回は8エリアある。10月18日に事業を開始した八頭郡(鳥取)と西伯郡(同)に至っては運行回数そのものがいまだにゼロだ。
地方部が苦戦する要因としては、単純に需要が少ない点をはじめ、ドライバー不足や配車アプリの未浸透などが挙げられる。
そこまで需給がひっ迫しておらず、配車アプリも浸透していなければ、日本版ライドシェアの出番はない。地方部でも導入する動きが広がったものの、本当にその必要があったのか、こちらも検証が必要と思われる。
なお、多くの一般ドライバーは時給制となっているため、待機しているだけでも収入を得られる。こうしたうわさが広がれば、ドライバーの応募数が増えるかもしれない。
【参考】ライドシェア関連求人については「ライドシェア関連求人、前月比で7.6%減の109件 実施事業者増で求人に増加余地」も参照。
■ライドシェア議論の動向
今しばらくは継続審議
本格版ライドシェア解禁に向けた議論は、国の規制改革推進会議で継続審議されている。方向性としては、自家用車活用事業などのモニタリング及び検証・評価を進め、並行してタクシー事業者以外が行うライドシェア事業について、骨太方針などに基づき内閣府や国土交通省の論点整理を踏まえ、法制度を含め事業の在り方の議論を進めることとしている。
2024年12月に取りまとめられた「規制改革推進に関する中間答申(案)」では、当面の間、特に中小都市を中心に足不足の実態・要因などを重点的に調査・検証し、四半期ごとに足不足の改善状況の評価を実施する方針としている。
■【まとめ】日本版ライドシェアはさらなる改善が必須
日本版ライドシェアは、都市部では一定の成果を上げる一方、地方では苦戦する傾向が顕著に見られる。本格版実現までの「繋ぎ」の制度であるならばこのままでよいかもしれないが、継続事業とするならばさらなる改善は必須の状況だ。
一方の本格版ライドシェアに関しては議論が今しばらく続く見込みだが、解禁に向けた熱はやや冷めつつあるように感じる。果たして、2025年中に結論は得られるのか。その動向に引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「ライドシェアとはどういう意味?問題点は?料金は?免許は必要?」も参照。