Googleの自動運転タクシー、あおり運転か 赤信号も無視、警察が困惑

アリゾナ州フェニックスで発生

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Google系の自動運転開発企業であるWaymo自動運転タクシーが、警察官に停止を求められるといった交通トラブルがあった。

これは米アリゾナ州フェニックスで2024年6月に起こったもので、Waymoのドライバーレスの自動運転タクシーが走行中に対向車線を逸脱し、赤信号も無視したとのことで、警察に止められたという。

その様子を後方から撮影した動画が拡散され話題になっている。Waymo車は、あおり運転しているような走り方をしているようにも見える。

■自動運転車があおり運転?

警察の発信記録によると、6月19日午前11時過ぎ、フェニックスの警察官がWaymoの自動運転タクシーの交通取り締まりを開始したという。Waymo車は対向車線に進入し、赤信号を無視して「FREAKED OUT(パニックになっている・興奮しているといった意味)」の状態になっていたという発信記録が残っているようだ。

その様子が撮られた動画では、Waymo車が道路上で前の車両にくっついて左右に蛇行しながら走行する様子が確認できる。日本でもよく炎上している危険走行の「あおり運転」のようにも見える。

出典:Victoria Advocate記事内の動画より

▼USA: Police Stop Waymo Self-Driving Car in Phoenix Traffic Incident
https://www.victoriaadvocate.com/usa-police-stop-waymo-self-driving-car-in-phoenix-traffic-incident/video_8967e1a3-72ef-5e66-b6fb-6a2cccdf4be4.html

その後、Waymoの車両は自律的に最寄りの駐車場まで走行し、このトラブルは一旦は終結したようだ。Waymo車には同乗者はいなく、他に巻き込まれたクルマもなかった。ただし警官はインカムでWaymoのサポートに連絡しなければならず、最終的にはスタッフが到着して対処したようだ。

今回のトラブルについて、当初Waymo側はノーコメントとしていた。しかしその後出した声明によると、Waymo車は「一貫性のない工事標識」に遭遇し、対向車線に出てしまったという。車両は約30秒間、正しい車線に戻るナビゲーションを妨害された。その後交差点をクリアするために少し前進し、次の利用可能な駐車場に入ったと説明している。

■ドライバーレスカーの交通違反という課題

Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

今回の出来事により、ドライバーレスの自動運転車が交通事故や違反を起こした場合、どういった対応が可能なのかという疑問が、あらためて浮き彫りになった。

Waymoの自動運転車には緊急車両を感知する装置が搭載されている。Waymoの救急隊員向けトレーニングガイドによると、自動運転車は緊急車両やライト、サイレンを検知できるという。そしてWaymo車が停止すると、ドアのロックを解除したり窓を開けたりすることができるようだ。

警官はWaymo車内にあるインターホンを使ってオペレーターとリアルタイムで話したり、専用の電話番号に電話したりできる。また車載オーディオシステムにより、救急隊員はWaymoのサポートと通信することができ、さらなる指示を出すことができる。また、必要であればWaymoからサポートスタッフを派遣することも可能だという。

なお、自動運転タクシーに同乗者がいた場合は、警察とWaymoのオペレーターに連絡し、指示をあおぐ必要がある。

■「事故時の対処方法」も明確に

ドライバーレスの自動運転タクシーが商用化されている米国では、Waymoのほか、GM傘下のCruiseの車両による交通トラブルも問題になっている。

今回のWaymo車が起こしたトラブルにより、処罰はどうすればいいのかといった議論が再熱している。違反切符を切る対象の運転手がいないため、責任の所在はどうなるのか、といった視点だ。

すでに自動運転タクシーが多くの事故やトラブルを起こしているカリフォルニア州サンフランシスコでは、自動運転タクシーサービスの拡大を阻止しようとする動きも出てきている。

こういったトラブルが続くと、自動運転タクシーが走行することに対する地元住民の理解を得ることが難しくなるだけでなく、自動運転タクシーの利用を躊躇する人も増えていく可能性がある。

【参考】関連記事としては「Googleの自動運転、全672台がリコール!電柱との衝突事故を受け」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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