東京都で、自動運転の実装に向けた社会受容性向上に寄与する取り組みに対しての新たな支援がスタートした。
幅広い世代に向けて、自動運転に関する体験や学びの機会を提供する取り組みなどの実施に必要な経費として、最大1,000万円を補助するというものだ。2024年4月1日から先着順で申請を受け付け、予算額に達した時点で申請受付を終了するという。
自動運転の本格的な社会実装に向けて、東京都がますます本気を出してきた。
▼自動運転の実装に向けた社会受容性向上に資する取組に対して新たに支援を開始します!
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/03/29/06.html
■レベル4実現のための事業がスタート
東京都は2024年度から、「自動運転の実装に向けた社会受容性向上支援事業」を新たに開始した。東京における自動運転レベル4などの先進モビリティサービスの実現・普及を図るための施策だ。
都市への自動運転の実装を進めていくためには、安全性の確保のほか「自動運転とは何か」といった基本的な理解促進をはじめ、利便性や自動運転がもたらすメリットなどについて、地域住民の理解を深めることが重要になってくる。
そこで、2024年度に自動運転の実装を目指す事業者などが、社会受容性の向上に関する取り組みなどを実施する場合、必要な経費を補助する。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル4とは?車種一覧、市販車はある?いつ実用化?」も参照。
■1,000万円を限度に補助
補助金の交付対象となる事業は、下記の項目全てに該当する必要がある。
- 自動運転、自動運転化技術などが都民等(都民及び東京への来訪者)の理解を得て受け入れられることを目的とする事業であること。
- 推進区域を含む都内で、都民等向けに幅広く実施する事業であること。
- 自動運転車両の試乗、展示会など、体験・参加・学習型の事業であることとし、実施に際し、来場者への利用意向調査など、社会受容性の向上に向けた施策に活かす取組を内包する事業であること。
- 事業の効果が広範に及ぶこと。
- 収益を目的とした事業でないこと。
- 政治活動又は宗教活動を目的としない事業であること。
- 公序良俗に違反しない事業であること。
補助対象者は、レベル4などの自動運転の実装を目指し、ソフトウェアや自動運転車両などを開発、または運行事業を予定している事業者・団体などだ。企業でなく、区市町村が申請することも可能だという。
補助するのが中小企業の場合、補助対象経費の3分の2以内の額または1申請当たりの補助限度額1,000万円のいずれか低い額となる。中小企業でない場合は、助対象経費の2分の1以内の額または1申請当たりの補助限度額1,000万円のいずれか低い額となっている。
【参考】関連記事としては「自動運転と東京」も参照。
■会場費や人件費などが補助金助成対象に
自動運転の社会受容性を高める取り組みの実施に必要な経費としては、会場費、設営・撤去に係る経費、人件費、広報費、謝礼金、教材費、物品購入費、委託費、リース費が挙げられている。
なお補助事業の開始は、原則として交付決定後に行うことになっており、交付決定前に事業を開始した場合、原則として補助金の交付対象にはならない。
補助金の申請は、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システム「Jグランツ」または東京都の事務局で行う。審査後に交付決定通知がされ、補助事業を実施する。実績報告後に補助金額が確定し、請求、交付という流れになっている。
■どの企業が交付されるのか注目
現在、自動運転レベル4の実装を目指す事業者は、大手自動車メーカーやシステムや運用を手掛けるスタートアップなど多数ある。どんな企業が申請するのか、またはもう申請済みなのか、気になるところだ。東京都による交付先の発表を待ちたい。
【参考】関連記事としては「東京都が本気だ!「観光型MaaS」に最大4,000万円助成」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)