自動運転レベル1〜2、ADAS機能の搭載ランキング!1位は?

車両横滑りに対応する「ESC」が首位

B!

自動車へのADAS(先進運転支援システム)の搭載が加速している。自動車メーカー各社が発表する新型車には、こういった機能をアピールしている車種も多い。

ADAS機能については、最近はほとんどの人が知っているかと思うが、では具体的にADASのどの機能の搭載が最も進んでいるのだろうか。

一般社団法人日本自動車工業会が公開している資料から、ADASの装着状況をランキング化してみる。

■ADAS、装着率ナンバーワンは?

日本自動車工業会の資料「日本の自動車工業 2021年版」の中で、「車両安全装備」という項目があり、「乗用車の車両安全装備装着状況(2020年)」が発表されている。なおこの資料は2022年版も公開されているが、車両安全装備装着状況の詳しいデータは掲載されていないため、このランキングでは2020年時点のデータを使い、傾向を可視化したい。

以下は車両安全装備における「予防安全」に関する装着率を、1位から10位までランキング化したものだ。

<乗用車の車両安全装備装着状況>
1位(100%):車両横滑り時制動力・駆動力制御装置(ESC)
2位(98.9%):ABS用ブレーキアシスト装置
2位(98.9%):パワーウィンドウ自動反転機能装置(オートアップ機能付きの席)
4位(96.6%):高輝度前照灯(HID、LED)
5位(91.0%):トラクションコントロール付ABS
6位(90.4%):衝突被害軽減ブレーキ
7位(89.3%):車間距離警報装置
7位(89.3%):車線逸脱警報装置
9位(88.2%):緊急制動表示装置(ESS)
10位(82.0%):後退時後方視界情報提供装置(バックカメラ)
10位(82.0%):ペダル踏み間違い急発進抑制装置

▼日本の自動車工業 2021年版
https://www.jama.or.jp/library/publish/mioj/ebook/2021/MIoJ2021_j.pdf

■ESCが装着率が100%で1位、衝突被害軽減ブレーキは6位

装着率1位は、「車両横滑り時制動力・駆動力制御装置(ESC)」で、全車種に装着されていた。これは、車両が横滑りしたときの横方向安定性の向上や、転覆の可能性を低減させるため、エンジン出力や制動力を制御する機能となる。

2位タイに「ABS用ブレーキアシスト装置」がランクインした。ABSは「アンチロック・ブレーキシステム(Anti-lock Breake System)」の略称で、急ブレーキをかけた時などにタイヤがロックするのを防ぐことにより、車両の進行方向の安定性を保つ装置のことを指す。さらに、ハンドル操作で障害物を回避できる可能性を高める機能もある。

ADASの主要機能の1つである「衝突被害軽減ブレーキ」は、6位となっている。ちなみに衝突被害軽減ブレーキに関しては「日本の自動車工業 2022年版」で2021年時点のデータが詳細されており、以下のように装着率が上がっていることが示されている。

出典:日本の自動車工業 2022年版

▼日本の自動車工業 2022年版
https://www.jama.or.jp/library/publish/mioj/ebook/2022/MIoJ2022_j.pdf

■ADAS搭載が標準化しつつある

ADASは、0〜5の6段階に分類される自動運転レベルにおいては、「レベル1」もしくは「レベル2」に該当する。

現在発売中の車種には、アクセルペダルを踏み続けることなく設定した一定速度を維持する「クルーズコントロール」や、ドライバーの不注意などによる車線からの逸脱を防止する「車線逸脱防止支援システム(レーンキープアシスト)」、駐車場にクルマを停める際に、ハンドルやペダルの操作支援や、周囲の状況をドライバーに分かりやすく伝える「駐車支援システム(パーキングアシスト)」といった機能が搭載されているものもある。

これらは、今回のランキングの装備よりさらに一歩進んだ機能となり、より自動運転に近いと言える。より安全を重視するため、今後こういった高度なADASを搭載したクルマが増えることが予想される。

【参考】関連記事としては「ADASとは?(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



B!
関連記事