日本最大級のデリバリーサービス「出前館」は2023年8月9日までに、三井不動産が管理する東京ミッドタウン八重洲で、配送ロボットによるデリバリーサービスに参画することを発表した。8月1日からの配送開始により、国内外から大きな注目を集めそうだ。
■わさわざロビーまで下りなくても…
これまでの高層ビルやオフィスへのデリバリーでは、セキュリティの観点から注文したユーザーがわざわざロビーまで下り、商品を受け取る必要があった。
今回開始する取り組みは、東京ミッドタウン八重洲に到着した商品をデリバリーロボットが受け取り、その後、自動でエレベーターに乗り、指定されたフロアへ移動して注文者まで届けるといった仕組みだ。流れを羅列すると下記の通りとなる。
- ①オフィス入居者が商品を注文・決済
- ②配達員などがロボットの待機場所まで商品を運び、ロボットに商品を収納
- ③ロボットがオフィス入居者に商品を配送
- ④オフィス入居者がロボットから商品を受け取り
- ⑤ロボットが待機場所へ帰還
ロボットの稼働時間は平日9時〜21時で、配送エリアは東京ミッドタウン八重洲内オフィスエリアの7〜38階の24階を除いた共用部の廊下となる。配達可能商品は、同ビルへ配達可能な館外の店舗で、館内の地下1〜3階の店舗は順次対応予定のようだ。
■香港製デリバリーロボ「RICE」を活用
今回の各社の役割としては、三井不動産はロボットデリバリーサービスの提供と東京ミッドタウン八重洲の管理を、システム開発大手のTISはロボット統合アプリの提供とオフィスビルへのロボット提供サポートを行う。
またソフトバンクグループでロボット事業を手掛けるアスラテックはデリバリーロボット「RICE」(ライス)の提供を、出前館は注文プラットフォームと配達員の提供を担う。
RICEは、香港のRice Roboticsが開発した自律走行型の屋内配送ロボットで、アスラテックが日本の総代理店となっている。人と協調して働くことを前提に設計されており、人との衝突を回避したり障害物を避けたりする機能などを備えているほか、前述の通りエレベータと連携することで、異なるフロアに荷物を届けることも可能となっている。
■ラストワンマイル配送における需要
人手不足により、物流のラストワンマイルでより一層の活躍が期待される自動配送ロボット。今後も持ち上がりつつある「クイックコマース(即配)」(※日用品などを短時間で届けるサービス)分野でも、配送ロボットの需要が高まっていくと考えられる。
まず出前館がデリバリーの最終工程で無人化を実現した。追随する動きが今後も国内で出てくるかに着目したい。
【参考】関連記事としては「自動運転デリバリーの前哨戦!店舗DXで「在庫即反映」を実現せよ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)