愛知県豊明市にある藤田医科大学病院でこのほど、屋内配送向けサービスロボットの活用が始まった。藤田医科大学、川崎重工、明治大学発ロボティクスベンチャーであるSEQSENSE(シークセンス)が共同で行う取り組みだ。
正式な導入に向けたトライアルサービスとしての運用で、3台のロボットが24時間体制で検体配送や薬剤配送業務を行うという。
■エレベーターで人と相乗りも
今回導入されたのは、屋内配送向けサービスロボット「FORRO(フォーロ)」だ。トライアルサービスでは、川崎重工やSEQSENSE、近計システム、デジタル・インフォメーション・テクノロジーが共同開発したプラットフォームクラウドシステムとロボット連動ユニットにより、エレベーターや自動ドアと連携しているという。
これまで人力で行っていた業務を自動化することで、医療従事者の負担軽減・業務効率化を目指す。
トライアルでは、3台のロボットが24時間体制で稼働する。ロボットは45分の充電で連続6時間稼働可能で、タスクの間に自動充電が可能になっている。広範囲をセンシングし、外来患者が多い日中の混雑時間帯でも安全に走行できる。
さらに、病院での常時運転では全国初となる「エレベーターでの人とロボットの相乗り」を実現しているという。混雑時には乗車を見送ったり、タッチパネルや手動操作で緊急降車したりといったことも可能になっている。
■これまでに積み重ねてきた実証実験
今回のトライアルサービス開始にあたり、同大学病院では実証実験を積み重ねてきた。
2021年10月にフェーズ1として自律走行機能を有したロボットによる同一フロア内搬送の検証や人のエレベーター操作補助あり別フロア移動の検証、2022年2月にフェーズ2として自律走行機能・エレベーター連携機能を有したアーム付きロボットによる別フロア間搬送の検証などを行った。
また2022年の8月と12月には、フェーズ3としてサービスロボットによる病院内作業と病院側システムとの連携検証、ロボットの荷室サイズや構造、使い勝手の検証を行っている。
今回のトライアルでは、実サービスに近い形での業務を行うことで、各配送の頻度や量、他医療従事者への影響を確認する。今後は本格導入を目指し、藤田医科大学病院におけるサービスロボットのさらなる活用方法について検討していく。
■ロボットが課題解決の大きな力に
労働者不足や業務の効率化が叫ばれる昨今の医療業界。この課題の解決にロボットが大きな力になってくれることは間違いない。
【参考】関連記事としては「スリム化&積載量増!病院内配送ロボが進化、川崎重工などが実証」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)