打ちっぱなしのゴルフボールはどのように回収されているかご存じだろうか。多くのゴルフ練習場では、フィールドに落ちているゴルフボールを人力で集める作業をする必要がある。営業時間中はその作業ができないため、営業時間終了後の深夜もしくは早朝に行っていた。
そんな集球作業を効率化するため、ゴルフ練習場の設備を手掛ける喜和産業株式会社(本社:東京都港区)が、自動運転が可能な集球ロボット「M‐One」シリーズを開発・展開している。どんな仕組みのロボットなのだろうか。
■自動集球ロボ「M-one」シリーズとは
M-oneシリーズは、自動運転でゴルフ場に落ちているボールの回収を行うロボットだ。1回の充電で約6,000平方メートルを集球でき、省人化を実現した。また、営業中でも集球作業をすることができるため、ボールの在庫数を減らすことができ、コスト削減にもつながる。
ゴルフアイテムなどが特集されている「GEW VIRTUAL GOLF FAIR」の公式サイトによると、このロボットにはGPSと自動マッピング機能が搭載されており、監視や手作業の必要なくフィールドのどこでも現在位置を把握しながら縦横無尽に移動することができるという。
これまでの集球作業は、傾斜をつけて転がったゴルフボールをU字溝に集め、洗ってまた戻すという流れが主流であった。ロボットの導入により、あらかじめ集球と排球ルートを登録することで、ロボットが無人で走行しボールを回収、その後指定の場所に自動排出することができるようになる。
■展開している機種は2種類
なお現在リリースされているM-oneシリーズの機種は2種類ある。コンパクトモデルの「Cube」とスタンダードモデルの「dump」だ。
Cubeは充電2時間半で5時間稼働し、約6,000平方メートルの広さを走行し、約500球収容することができる。また、dumpは充電2時間で8時間稼働し、約1万平方メートルの広さを約1,200球収容可能となっている。
この自動集球ロボを開発したのは、ゴルフ練習場をはじめとするスポーツ事業の省力機器・システム開発の総合プランナーである喜和産業だ。M-oneシリーズのほか、QRコード決済ボール貸出システムや小型エアー送球システムなど、最新技術を取り入れたゴルフ設備を開発している。
■ゴルフ場で続々と自動運転技術が活躍
この自動集球ロボットの登場により無人での作業が可能になった。また、GEW VIRTUAL GOLF FAIRの記事によると、これまではゴルフ練習場を運営するのに9万程度のボールが必要だったところを、M-oneシリーズの導入により7万程度まで減らせるという。
このロボットは、2023年4月時点で数カ所のゴルフ練習場ですでに導入されている。ゴルフ業界での自動運転といえば、コース内を移動するための電動自動運転カートなどがすでに開発されているが、自動運転技術が活用できるシーンの幅広さを感じさせるニュースだ。
【参考】関連記事としては「ゴルフカートが自動運転車に!?三重県桑名市で実証」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)