物流ハブ向け自動運転トラックを開発しているスタートアップの米Outrider(アウトライダー)は2023年1月24日までに、新たに7,300万ドル(約94億円)の資金調達を行ったことを発表した。
2017年設立のOutriderは、物流ヤードで稼働する自動運転トラック、いうなれば「自動運転ヤードトラック」に特化したソリューション開発を行っている。
ヤードとは物流施設でトラックやコンテナから荷物の積み替えをするエリアのことで、ヤードトラックとは一般的に、コンテナを載せたトラックが物流ハブに到着後、トラックから切り離されたコンテナトレーラーをトラックの駐車スペースから発送の接車場(ドック)まで牽引する作業などを担う専用車両のことを指す。
■NVIDIAのVC部門からも資金調達
Outriderは、物流ヤード内でコンテナを駐車スペースから積み込み場所に移動するまで、危険を自動で察知して、自動でナビゲートが可能な電動ヤードトラックの開発を進めている。
今回の資金調達シリーズCラウンドでは、世界最大の政府系投資ファンドであるアブダビ投資庁や、米NVIDIAのベンチャーキャピタル部門、ベンチャーキャピタルの米NEA、エネルギー関連複合企業の米Koch Industriesが新たに参加している。Outriderの資金調達総額は、1億9,100万ドル(約247億円)となった。
Outriderは、今回の資金調達は自動運転技術のさらなる開発と、米国や海外における人材補強に充てるとしている。
■ニッチな領域はたくさん存在
自動運転トラックに関しては、米国ではEmbark TrucksやKodiak Robotics、中国ではTuSimpleやPlusといった新興企業が実用化に向けた取り組みを行っている。ただしそのほとんどが高速道路での自動運転を想定したトラック開発となっており、Outriderのようにヤードトラックに特化している企業の存在は耳に入ってこない。
自動運転ビジネスはまだまだこれからなだけに、他社が参入していないニッチな領域はたくさん存在する。そのため、ヤードトラックに注目するOutriderのようなアプローチは、将来の事業拡大を目指す上で非常に有効と言えそうだ。
▼Outrider公式サイト
https://www.outrider.ai/
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの開発企業・メーカー一覧」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)