あいおいニッセイ同和損害保険はこのほど、GPS(全地球測位システム)や高精度3次元地図データに依存することなく自動運転を可能にする、あるベンチャー企業と資本業務提携を行った。その企業とは、英オックスフォード大学発スタートアップのOxbotica(オックスボディカ)だ。
あいおいは、レベル3以上の自動運転モードで走行中の運転分保険料を無料化する保険の開発や、国内外の自動運転関連企業と共同で実証実験を行うなど、自動運転技術に関する研究や協業を推進している。今回Oxboticaと提携することで、完全自動運転の特徴を踏まえた保険のあり方を検討していくという。
■地図データ不要!Oxboticaの技術
Oxboticaは2014年、オックスフォード大学の2人の教授によって設立された自動運転ソフトウェア開発企業だ。同社が提供する自動運転ソフトウェアは3つだ。カスタマイズできるため、どんな車両にも対応可能となっている。
1つ目はフルスタック自動運転システム「Oxbotica Driver」で、デバイスドライバーやマッピング、センサーによる障害物検知などを統合させることで、GPSや高精度3次元地図データ(HDマップ)に依存することなく自動運転を可能にする。鉱山や工場、飛行場、道路などあらゆる分野において、天候や地域に関係なく、シャトルバスやデリバリー専用車両、鉱山用トラックといった幅広い車両タイプに搭載可能だ。
2つ目は、クラウドベースの管理システム「Oxbotica Cloud」で、車両の位置検索や車両状態のリアルタイム把握を行う。単独での使用のほか、既存の車両管理プラットフォームと接続することもできる。
3つ目は、3Dシミュレーションソフト「Oxbotica MetaDriver」だ。最先端のAI(人工知能)と車載データ活用し、実走行距離でのシミュレーションシナリオを作成することで、実際に走行しなくても、さまざまな環境での自動運転での走行を検証できる。
あいおいは、これらの自動運転システムを活用しながら、無人自動運転車向けの商品・サービスの開発を行っていくとしている。
▼Oxbotica公式サイト
https://www.oxbotica.com/
■自動運転社会の到来を見据えるあいおい
あいおいは、自動運転社会の到来を見据え、2016年に群馬大学と自動運転技術の共同研究をスタートさせた。また2015年には英国テレマティクス自動車保険大手のInsure The Boxを買収している。
2022年11月には、オックスフォード大学のAIベンチャーであるMind Foundryと共同研究所「Aioi R&D Lab – Oxford」を設立し、自動車保険に関する最先端のテクノロジーなどを研究開発していくことを発表している。今回のOxboticaとの取り組みも、同研究所と連携し行っていくようだ。
あいおいは、同社が目指す「CSV×DX(CSV:社会との共通価値の創造、DX:データ・デジタルを活用し価値提供を変革させること)」に基づく商品・サービス開発を進め、自動運転車の普及促進と安全・安心なモビリティ社会の実現にグローバルに貢献していくとしている。今後の取り組みにも注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転ソフト開発の英Oxbotica、48億円資金調達 オックスフォード大発スタートアップ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)