空飛ぶクルマを開発する米スタートアップのAlef Aeronauticsはこのほど、廉価版の空飛ぶクルマ「Model Z」を販売予定だと発表した。Model Zの価格は3万5,000ドル(約480万円)で、2030年までに完成させる予定だという。
なお、同社の30万ドル(約4,100万円)の「Model A」は現在予約販売を受け付け中で、2025年末には顧客に届けることができるとしている。
■予約受付中のModel Aは2025年末にも提供
Alefが現在予約を受けているModel Aは垂直離着陸機で、110マイル(約177キロメートル)の距離をヘリコプターのように飛行可能だという。同社は2019年からプロトタイプをテスト飛行させている。2025年末に提供するバージョンは、地上での走行距離が200マイル(約321キロメートル)になる予定だ。
Model Aは自動車の法規制に準拠するよう設定されており、公道走行が可能となっている。同社CEO(最高経営責任者)であるJim Dukhovny氏によると、この機種は主に高速道路の走行用に作られており、特定の障害物だけを回避するために、低高度や短距離だけを飛行することを想定しているという。地上を走るクルマとしての利用がメインになるということかもしれない。
なお廉価版であるModel Zについての詳細はまだ明かされていないが、3万5,000ドルという価格は2030年ごろにおいても、業界で破格の安さと言えるかもしれない。
▼Alef Aeronautics公式サイト
https://alef.aero/
■空飛ぶクルマを「夢物語」ではない
現在、多くの企業が空飛ぶクルマ開発を行なっている。たとえば、日本のSkyDriveは2025年開催予定の大阪・関西万博での実用化を目指しており、2028年ごろに市販化を開始する計画だ。
同社は最大で30キロまで積載可能な物流ドローンの開発にも取り組んでいる。2022年9月には米Volatus Infrastructureと「バーティポート」に関して業務提携したことも発表し、機体開発に加え実用化のためのインフラ面においても積極的な動きをみせている。
ほか、トヨタやANAとも提携している米Joby Aviationは、エアタクシー用途での機体開発を進めている。2024年の商業運転スタートに向け、航空機の認証取得や製造オペレーションの拡大などの準備を進めていくようだ。商業化は、大都市圏で5〜150マイル(約8~241キロメートル)の距離を手頃な価格で移動することを目標に掲げている。
空飛ぶクルマを「夢物語」ととらえていては、モビリティ、そしてビジネスの新潮流に乗り遅れる。この業界での開発競争、そして商用化に向けた取り組みのスピードは日に日に増している。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)