自動運転配送ポッドを開発しているエストニア企業Clevonは、米ダラスに研究拠点と米国本社をこのほど開設した。無人運転における「低コスト配送」を武器に、即日オンデマンド配達のニーズが高い米国で自動配送ビジネスに本格的に参入する。
■配送の人件費コストを最大9割削減
Clevonの自動運転配送ポッドは、すでに欧州で2020年から商業利用されている。同社の公式サイトによると、オペレーター1人でポッド10台を同時に監視するため、人件費を80〜90%削減できるという。
同社は、配送コストの大幅削減とドライバー不足という問題の解決に寄与できることをアピールしている。
同社の配送ポッド「CLEVON 1」は、高さ155センチ×幅115センチ×長さ250センチのコンパクトサイズの車両だ。収納ボックス部分は用途に応じて交換することができ、最大で1.5立方メートルの収納スペースを確保することができる。
最高時速は約52キロで、1回の充電での航続距離は約100キロとなっている。最大積載量は約90キロ。カメラとレーダーを搭載しており、周囲360度を状況確認し、衝突を予測・回避することができるという。
■物流の世界大手DHLとも提携
2022年6月には、国際物流大手のドイツ企業DHL Expressと提携し、エストニアの首都タリンにおいてCLEVON 1を試験的に導入する予定であることを発表している。
Clevon幹部によると、DHLのほかにも2022年末までに国際的なパイロットプロジェクトが開始されるとのことだ。
DHLといえば、物流業界の大手企業だ。DHLとの協業をテコに、同社がさらにビジネスを拡大していけるかに注目が集まる。
■ユニコーン輩出国エストニアの新興企業
エストニアといえば、ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の非上場ベンチャー)数が国民1人当たりで最も多い国として知られている。国としても最先端技術の導入を推進し、ほぼ全ての行政サービスが電子化していることも有名だ。
そんなエストニアのスタートアップ企業であるClevon。自動運転・自律走行の業界で注目度が増していくのか、今後もウオッチしていきたい。
▼Clevon公式サイト
https://clevon.com/
【参考】関連記事としては「「自動配送ロボ」の未来を担う15社、どんな顔ぶれ?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)