2022年9月30日にテスラが開催した「AI Day 2022」。多くのメディアの注目は、主に人型ロボット「Optimus」に集まったが、自動運転ラボとしては「FSD」について語られた内容にも触れておきたい。
FSDはテスラが有料オプションとして展開されている運転支援機能だ。現在は最新のβ版がリリースされており、アメリカとカナダでテスター(試験者)が増えている。そんなFSDのβ版についてテスラの幹部は、同イベントで「年内に世界展開の準備が整うはず」と語った。
■運転データの収集を加速させる狙い
FSDは「Full Self-Driving」(※日本語に直訳すると完全自動運転)を略したソフト名だが、現在のところは機能は運転支援レベルにとどまっている。しかし、イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)はFSDを将来的に自動運転化することを明言している。
テスラは最近、そのFSDのβ版のテスターを増やすことで、同社がテスターから入手する運転データの量を一気に増加させ、自動運転機能の開発に活かそうとしている。
いまのところ、テスターの人数は米国とカナダで計16万人とされている。テスラはβ版を世界展開することで、さらにテスターの人数を増やそうとしているわけだ。ちなみに今から1年前は、β版のテスターはアメリカの2,000人のみだった。
【参考】関連記事としては「テスラの完全自動運転ソフト、テスターが16万人に急増!」も参照。
■欧州では展開に遅れも?日本では?
米メディアの報道によれば、β版の世界展開の準備は年内に整うものの、その後スムーズに各国でテスラ車のオーナーがβ版を利用できるようになるかについては、マスクCEOはやや自信がなさげのようだ。β版の展開には各国の規制当局の承認が必要だからだ。
マスクCEOが特に心配しているのがヨーロッパでの展開だ。欧州各国は運転支援機能に関する規制が厳しいことから、β版の展開開始が2023年にずれ込む可能性もありそうだ。
日本で展開されることになるのかも気になるところだ。マスク氏が突然、ツイッターで日本展開について触れる可能性もあり得る。まだマスク氏のTwitterアカウントをフォローしていない人は、「https://twitter.com/elonmusk」からフォローをしてみては。
【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)