トラック隊列走行システムの国際標準として、「ISO 4272」がこのほど発行された。経済産業省が発表した。日本が2019年4月に国際標準化機構に提案した基準だ。
ISO 4272の正式名称は、英語と日本語訳でそれぞれ以下の通りとなっている。
- 【英語】2022 Intelligent transport systems – Truck platooning systems (TPS) – Functional and operational requirements
- 【日本語訳】2022 高度道路交通システム -トラック隊列走行システム(TPS)- 機能および運用要件
▼日本提案の「トラック隊列走行システム」に関する国際標準が発行されました
https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220921001/20220921001.html
■隊列走行の管理・制御機能を規定
トラック隊列走行システムにはさまざまなメリットがある。後続車などに自動運転機能を搭載すれば、運転手の疲労などが引き金となる事故が減り、車速変化を少なくすることで燃費が向上し、渋滞の緩和や人材不足といった課題の解消にもつながる。
発行された日本提案の「ISO 4272」は、隊列運行管理機能と、隊列走行制御機能について規定している。これらの機能が標準化されれば、メーカーの異なる車両が混在しても隊列の加入者情報を共有でき、加入時にも協調して車速調整し、隊列の形成ができるという。
ちなみに隊列運行管理機能とは、隊列の形成・加入・離脱に際し、車両間や隊列走行管制室で情報を共有する機能だ。一方、隊列走行制御機能とは、車両間の加減速情報などを共有することで、車間距離維持や車線維持、車線変更を行う機能のことだ。
■自動運転でも議論をリードする日本
隊列走行にも関わってくる自動運転でも、日本は国際的にリードしている。日本は国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、共同議長または副議長として、自動運転に関する国際基準に関する議論を主導する立場だ。
モビリティ技術の革新には、国際的なルール作りが欠かせない。そんな中、標準化や基準策定で日本がさらに存在感を高めていくことに期待したい。
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの隊列走行、割り込み発生にどう対処?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)