衛星データから「仮想地球」構築!自動運転AIの訓練場に

スペースデータが14.2億円を資金調達

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出典:スペースデータ・プレスリリース

自動運転AI(人工知能)の「学習」の舞台として、デジタルツインに注目が集まっている。

デジタルツインは、現実の物理空間をデジタルで仮想的に再現する技術のことだ。つまり、コンピューター上に双子(=ツイン)を作り出す技術ということになる。この仮想的な現実世界で、自動運転AIにさまざまなシーンでの運転・判断を学習させようというわけだ。

こうした中、衛星データから地球のデジタルツインを自動生成するAIを開発する株式会社スペースデータ(本社:東京都新宿区/代表:佐藤航陽)が、シードラウンドとして総額14億2,000万円の資金調達を完了したことを、このほど発表した。

同社は「世界中で急拡大するメタバースやデジタルツインの需要に対応して、様々なソリューションを企業や行政向けに提供していく予定」としており、自動運転の需要にも対応していくようだ。

■材質まで自動的に再現するAIアルゴリズム

スペースデータが開発するAIアルゴリズムは、衛星データと3DCG技術を活用し、現実にそっくりの仮想世界をバーチャル空間に自動生成する。人工衛星から取得する地上の静止画像と標高データに機械学習を行うことで、地上の構造物を自動で検出し、分類・構造化していく。

物体の種類や形状、色、材質、高さ、広さ、役割などをシステムに理解させたうえで3Dモデルへの再変換をかけているため、人間が歩く1人称視点でも景観が劣化しにくく、高度なビジュアルが求められる分野でも活用しやすいようだ。AIは地上の3Dモデルを自動で生成し、3DCG技術が石や鉄、植物、ガラスなど細かい材質も自動的に再現するという。

そして同社のAIは最終的に、交通量や人通り、昼夜、四季、気温、植物分布、夜間光量など、現実世界に存在するあらゆるデータを取り込み、限りなくリアルタイムの現実に近づいた並行世界をコンピューター上に再現するように進化していくという。

出典:スペースデータ・プレスリリース
■前澤友作氏などが資金調達ラウンドに参加

報道発表によれば、今回の資金調達ラウンドに参加している投資家としては、Spiral Capitalや宇宙フロンティアファンド、KDDI Open Innovation Fund3号、GREE Ventures、平尾丈氏、富島寛氏、THE CREATIVE FUND、Headline Asia、前澤友作氏、MZ Web3ファンドとなっている。

2017年1月に設立された宇宙関連のスタートアップであるスペースデータ。ちなみに同社は物理的にオフィスを構えず、リアルでは一度会ったことも顔もみたことがないメンバー同士が、オンラインに集まって開発する分散型組織として活動しているユニークな企業だ。

デジタルツインの進化は自動運転開発にも大きく貢献するため、スペースデータの今後の動向に引き続き注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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