空飛ぶクルマの「バーティポート」(離発着場)、いわゆる空港的インフラ設備の開発に向け、日本国内外の4社が業務提携の覚書を締結し、タッグを組んだ。
覚書の締結が発表されたのは2022年5月27日。4社は、駐車場最大手のパーク24、あいおいニッセイ同和損害保険、総合商社の兼松、そして離着陸インフラの整備・運用を手がける英Skyportsだ。
今回の発表からは、駐車場事業などを手掛けるパーク24が、空飛ぶクルマ関連の事業を新ビジネスとして展開しようとしていることを思わせる。ちなみに、兼松は日本における空飛ぶクルマの地上側インフラ開発や運営に際し、Skyports社と過去に資本業務提携をしている。
■大阪など関西エリアで設置場所を探す
今回の提携は、空飛ぶクルマを多くの人がスムーズに利用できる環境を整備するためのものだという。
開発する空飛ぶクルマのバーティポートは、離着陸拠点と専用の充電施設として機能する。バーティポートの設置場所は、パーク24が管理している駐車場から探す。そのため今後、大阪など関西エリアをメインに事業性評価を含んだ共同調査を実施する。
同時に、利用客のファースト・ラストマイルの移動手段として、パーク24が展開するカーシェアリングサービスの活用についても検討するようだ。あいおいニッセイ同和損害保険は空飛ぶクルマによる移動サービス向けの保険の手配と提供などを担う。
■英国で最近話題になった「空港」
ちなみについ最近、イギリスで空飛ぶクルマ向けの「空港」が話題になったので、触れておきたい。
エアモビリティ向けのインフラ事業を展開する英Urban-Air Portが、空飛ぶクルマや空飛ぶタクシー向けのエアポート「Air-One」について、イギリス中部の都市コベントリーでのオープンを発表した。
デモンストレーション向けではあるが、空飛ぶクルマ向けのエアポートがオープンしたのは世界初だという。Air-Oneのオープンはイギリス政府の支援も受けて実現した。
Air-Oneは円錐台のエアポートで、組立てが容易な構造だという。中の空間は空飛ぶクルマの利用者の待合場所として機能するようだ。地面からエアポートの頂上には階段が設置されている。
Urban-Air Portは今後5年で世界中に200以上の拠点を設置する計画を立てている。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ向けの「空港」、英国で世界初オープン Urban-Air Portが発表」も参照。
■大阪・関西万博での実現ムードに高まり
今回の4社の発表によれば、空飛ぶクルマの離発着場の設置はまずは大阪など関西エリアで始まるようだ。大阪では、2025年に開催される大阪・関西万博で空飛ぶクルマの実現を目指しており、4社の取り組みは実現に向けたムードを盛り上げるものだ。
空飛ぶクルマの機体の開発とともに、離発着場などのインフラ整備も、空飛ぶクルマの移動サービスの実現には欠かせない。今回タッグを組んだ4社の動きに注目だ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?(2022年最新版) 実現時期や技術的要件は?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)