ソフトバンクは通信会社ながらロボットの開発も手掛けており、その1つに屋内型自律走行ロボット「Cuboid(キューボイド)くん」がある。2022年4月には、渡辺孝一総務政務官がこのロボットを視察したという。Cuboidくんはどんなロボットなのか。
■自律走行が可能、20キロの荷物を運搬可
CuboidくんはLiDARなどのセンサーを搭載しており、自律走行が可能なロボットだ。エレベーターの乗降も可能で、複数階にまたがった荷物配達などを人に代わって行うことができる
自律走行しながら「SLAM」(Simultaneous Localization And Mapping)も行う。SLAMとは、自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術のことだ。
【参考】関連記事としては「SLAMとは?位置特定と自動運転地図の作成を同時に」も参照。
サイズは幅37センチ×奥行き37センチ×高さ67センチ、重量はバッテリー込みで30キロだ。毎秒40センチの速度で走行し、最大20キロまでの荷物を運搬することができる。荷台やアームを追加することで、オリジナルロボットのベースとしても利用できる。
機体はホームセンターなどで手に入るアルミフレームを組み合わせており、万が一故障しても代替品が簡単に入手できる。各デバイスの接続にはUSBなどの汎用コネクタが採用されており、センサーの追加や交換も容易だという。
■可愛い顔も特徴、音声で呼び掛けも
顔が可愛いのも印象的だ。ロボットという無機質感を無くし、オフィスなどで働く人に受け入れてもらうための愛らしさなのかもしれない。
音声機能も搭載されている。自らの行動を音声で発しながら走行し、走行ルート上にいる人を検知すると「すみません。通らせてください」と呼びかけることもできる。また、自動充電機能により、バッテリー残量が少なくなったら、自ら充電スタンドにドッキングして充電を行う。
導入価格については初期費用が発生するが、3カ月間はフリーレントで、その後、月額15万円(税別)となっている。
■実証実験や導入実績に注目
これまでサービス付き高齢者住宅やオフィスビル内において、Cuboidくんを使ったエレベーターの乗降や複数階への荷物配送などの実証実験が実施されてきた。
2020年1月には東京のオフィスビル「日比谷パークフロント」において、地下駐車場から2階まで荷物を届けるデモを行った。これは、総務省が推進するIoTの安心・安全かつ適正な利用環境の構築に関する実証事業「自律走行ロボットエレベーター連携実証事業」の一環として実施された。
同年9月には、東京都の先端テクノロジーショーケーシング事業「Tokyo Robot Collection」に参加した。エレベーターを通信により自動的に呼び出し、行き先指定をしてフロア移動したり、ガラスの自動ドアの開閉を認識して停止・通過したりするなど、広範囲に移動して搬送するという実証を行った。
2021年11月には、戸田建設がCuboidくんをベースにした「ビル内移動環境計測・通知システム」のプロトタイプを開発した。Cuboidくんに二酸化炭素センサーを搭載し、ビル内に設置された二酸化炭素センサー情報と合わせ、より実態に近い二酸化炭素濃度の情報をビル管理者に提供するというものだ。
【参考】関連記事としては「東京ロボコレ、自律移動型のロボットたちが登場!東京ポートシティ竹芝オフィスタワーで実証実験」も参照。
■配送だけでなく警備などの分野でも
Cuboidくんは単に荷物を運搬するだけでなく、ベースロボットとして活用されることで、警備などの分野での活躍も期待される。導入実績が増えていくか、引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「新規参入相次ぐ!自動配送ロボット、国内プレーヤーの最新動向まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)