新型コロナウイルスが急速に再拡大している中国。中でも人口2,500万人の大都市である上海では広範な都市封鎖(ロックダウン)が行われており、市民生活に大きな影響が出ている。
そんな中、EC(電子商取引)大手のJD.com(京東商城)は上海に100台以上の自動運転配送ロボットを送り込み、非接触の配送をサポートしているようだ。公式サイトでは深夜に自動配送ロボットを上海に輸送する画像が公開されている。
■最大200キロの荷物の積載が可能
JD.comの自動運転配送ロボットは、ロックダウン中の地域の病院やデリバリーステーションに配備され、医薬品などの配送で活躍している。「人から人へ」という工程の一部を配送ロボットが担えれば、当然、人から人への感染リスクを減らすことができる。
導入される自動運転配送ロボットは、複数のセンサーとAI(人工知能)技術により、障害物を回避しながら目的地まで無人走行が可能。最大200キロの荷物の積載が可能で、一度の充電で100キロ走行できる性能を有している。
ちなみにJD.comは同種のロボットを、自社運営する生鮮食品スーパー「SEVEN FRESH」で2022年3月から導入しており、デリバリー業務を担わせている。
また、JD.comの系列企業としてスマート物流システム開発を手掛けるJDロジスティクスが開発した屋内用の配送ロボット約50台も上海に送り込まれ、移動式病院での食事や検査サンプルの配送を支援しているという。
■社会貢献&PRの大きなチャンス
新型コロナウイルスの再拡大は中国にとって大きな試練だ。こうした状況となっていることは基本的には誰にとっても望ましいことではないが、企業にとっては自社のロボットの強みをPRするチャンスになる。
コロナが再拡大している上海で機敏さを見せているJD.com。もちろん、純粋な社会貢献の意味もあるだろうが、このチャンスを生かそうという考えもあるはずだ。
【参考】関連記事としては「自動運転が「アンタクト(un-contact)」なサービスのカギを握る」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)