自動運転レベル3(条件付き運転自動化)の車が普及すると、ドライバーは今よりもっと自動車のコックピットに目を向ける時間が増える。運転をしなくていい時間が増えることで、車内での「可処分時間」が長くなるからだ。
つまりコックピットの重要性が増す。こうしたことを予見し、コックピットの進化に取り組んでいる企業はすでに少なくない。パナソニックのモビリティ新会社も、先進コックピットの開発に注力する方針を改めて表明した。
■コックピットのUX価値の向上に注力
2022年4月1日、「一人ひとりのより良いくらしの実現のため、持続可能なモビリティ社会を創造する」というミッションのもと、パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社(本社:神奈川県横浜市/代表取締役社長:永易正吏)が新会社として発足した。
パナソニックの社内カンパニーである「パナソニック株式会社オートモーティブ社」が、パナソニックグループの持株会社制移行に伴う会社分割によって、新たな株式会社として生まれ変わった形だ。
そして4月1日の報道発表では、自動車のコックピットのUX(ユーザー体験)価値を高めることに力を入れ、商品化を進めていくことが示された。パナソニックはこれまでもコックピットの開発に力を入れてきたが、改めてその方針を対外的に表明した格好だ。
■企業による開発競争が加速している領域
コックピット開発や車載インフォテインメント事業に参入・注力している企業は海外でも少なくない。挙げればキリがないが、例えば韓国のLG電子は米ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2022」で、車載インフォティメント事業に参入したことを発表した。
アプリを操作することで、自動運転車の車内に設置されたコックピットやdディスプレイで、テレビ鑑賞やキャンプの擬似体験ができるようにするという。インフォティメントシステムには音声認識機能を搭載させ、音声コマンドでの操作も可能にする計画のようだ。
なお車載インフォテインメントの分野では、日本企業のACCESSの活躍も目立つ。
また、2021年10月には自動車向けOSを開発するカナダ企業BlackBerryが、米Googleと半導体メーカーの米Qualcommとの提携を発表した。3社は次世代自動車向けコックピットの開発を推進し、究極のコックピット体験の提供を目指すという。
■次世代コックピットで主導権を握るのは?
自動運転レベル3が普及するであろうそう遠くない将来、自動車のコックピットはかなり進化しているはずだ。どのような進化を遂げるのか、そして次世代コックピットで主導権を握るのはどの企業か、注目していきたい。
【参考】関連記事としては「Google、次世代自動運転カーの「コックピット」に照準!BlackBerryとタッグ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)