AI(人工知能)技術を活用して効率よく乗客をピックアップしてくれる乗合バスは、社会にとっていいことづくめだ。より多くの人をより短時間で移動させることができるし、動力となるエネルギーを効率良く活用できる。SDGs(地蔵可能な開発目標)の観点からも二重丸だ。
そんな乗合バスの効率性をさらに高めて運行させる取り組みが始まる。国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)が2022年2〜3月、ドコモと共同で行う「AI運行バス」の実証では、従来よりもさらにルートが効率化されるという。
■さらなる効率化をどうやって実現?
AI運行バスはオンデマンド型公共交通システムだ。乗客が乗りたい場所をリクエストすると、AI運行バスは複数人からのリクエストを最も効率よくさばくルートを計算し、そのルートで乗客をピックアップする。
従来のAI運行バスのアルゴリズムでは、計算時間を減らすために、「すでに受け入れた配車予約の順序は変更しない」という条件で計算されていた。そのため、配車効率に無駄が出る場合があった。
そこで新たなアルゴリズムを開発した。すでに受け入れた配車予約も含めて柔軟に調整しながら、さらに効率的な走行ルートを導き出せるようにするという。
AI運行バスでは、公立はこだて未来大学発の未来シェアが開発したAI配車システム「SAVS(Smart Access Vehicle Service)」が使用されており、このシステムを北海道大学が開発した技術と組み合わせることで、上記のようなさらなる効率化が実現できるようだ。
いうなれば、「大学×大学」という大学パワーで、ルート最適化システムがパワーアップするというわけだ。
■実証実験の成果に注目
NEDOとドコモのAI運行バスを使った実証は次回で3回目となり、人流変動が激しい幕張新都心で実施される。ちなみにこれまでは、横浜市臨海部と横須賀市逸見地区エリアで実証実験を行ってきた。
AI運行バスの実証実験を含め、オンデマンド交通の実証は全国で盛んに実施されるようになってきており、その際にはルートの効率化がいつもテーマの1つとして掲げられる。2〜3月の実証実験の成果に注目だ。
【参考】関連記事としては「配送ルート最適化の米Wise Systemsが日本進出!国内勢と勝負、市場競争激化へ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)