現在、一定条件下で手放し運転が可能な市販車のほとんどは、運転手に前を向いていることやハンドルをいつでも握れる状態であることを求める。こうした水準は「自動運転レベル2」に相当し、ADAS(先進運転システム)、セミ自動運転などと呼ぶこともできる。
こうした車両では手放し運転がされている最中に、いかに運転手に前を向かせ続けておけるかや、いつでもハンドルを握れる状態をキープさせるかが、安全走行を維持する上でポイントとなる。
米道路安全保険協会(IIHS)はこうした視点で、新たな安全評価システムを開発中のようだ。言うなれば、「運転手への注意喚起度」を評価するシステムとでも言えようか。
ドライバーの目を常に道路に向けさせ、常にハンドルを握れるよう運転手に準備をしっかりと促す機能に対し、高い評価を与えるという。こうした安全評価システムを作成後、2022年中に最初の評価を発表する予定のようだ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?定義や呼称、市販車の車種は?できることは?」も参照。
■評価は4段階、評価ポイントは?
IIHSは、自動車事故を減らすことを目的として設立され、自動車事故により発生する損害と死傷率などを分析したり、各車両の安全に関する試験を行ったりしている非営利団体だ。
すでに、多くの自動車メーカーが手放し運転が可能な機能を新型車に搭載し始めている。トヨタの「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」、日産の「プロパイロット2.0」、テスラの「Autopilot」などが挙げられる。
IIHSは「good(良い)」「acceptable(許容範囲)」「marginal(最低ライン)」「poor(悪い)」の4段階で、先ほどのような視点で評価を行うという。なお「good」という評価を受けるためには、例えば以下のような要件を満たしている必要があるという。
- ドライバーの視線と手の位置をモニターできること
- ドライバーに注意を促すための段階的アラートがあること
- シートベルトを外している場合、機能を使用不可とすること
この安全評価システムが業界で重視されるようになるとすれば、運転支援システムの開発担当者はより細かな評価ポイントを早めに知っておくべきだ。参考までに、以下う¥にIIHSの英文プレスリリースのURLを貼っておく。
▼IIHS creates safeguard ratings for partial automation
https://www.iihs.org/news/detail/iihs-creates-safeguard-ratings-for-partial-automation
【参考】関連記事としては「自動運転の事故率は?抑止効果は9割以上?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)