ロシアのIT大手で「ロシアのGoogle」とも呼ばれるYandex(ヤンデックス)。同社が開発する自動運転搬送ロボットが、アラブ首長国連邦のドバイの特定エリアに住む住民に対し、小売店の商品を届け始めることになりそうだ。
現地メディアの報道によれば、中東や中央アジアでショッピングモールなどを展開するMajid Al Futtaim社とロシアのYandexがパートナーシップを結び、スーパーマーケットチェーン「カルフール」の商品の配送で自動運転ロボットを使用する検討に入ったという。
Majid Al Futtaimはカルフールをフランチャイズ展開している。パイロットプログラムは2022年初頭から始まる見込みで、早期の導入で増加するオンラインショッピング需要に対応したい考えのようだ。
■ロシアで実績を重ねる配送ロボを導入へ
2021年10月27日にドバイで開催された「Dubai World Congress for Self-Driving Transport 2021」(自動運転交通のためのドバイ世界会議2021)で、両社のパートナーシップの調印式が行われた。パートナーシップ締結の立役者はドバイ道路交通局(RTA)のようだ。
▼Majid Al Futtaim Signs Agreement with Yandex to Deliver Carrefour Orders Using Self-Driving Technology
https://www.majidalfuttaim.com/en/media-centre/press-releases/2021/11/majid-al-futtaim-signs-agreement-with-yandex
今後導入が検討されるYandex製のロボットは、歩道を含む歩行者エリアを最高時速8キロで走行することが可能で、自転車や歩行者との衝突もセンサーによって避けることができる仕様となっている。
実際にロボットが導入されれば、カルフールの商品をオンライン注文した客は、配送ロボットがいまどこを移動しているのかアプリで確認することができるようになるという。
このロボットはすでにロシアの配達現場で活躍しており、Yandexの自動運転GroupのCEO(最高経営責任者)であるDmitry Polishchuk氏によれば、「何万件もの注文」をさばいた実績があるという。
■「売り先」の獲得合戦が本格化しつつある
自動配送ロボットが開発する企業が増えている。アメリカ企業のNuroや中国のNeolixなどのベンチャー企業のほか、日本のパナソニックや川崎重工などの大手企業もこの領域に参入している。
今後はどの企業がより大きな、もしくはより多くの「売り先」を確保できるかが焦点となってくる。売り先とは、小売大手や物流会社などのことだ。YandexとMajid Al Futtaimとのパートナーシップは遠い中東での話ではあるが、こうした観点では注目に値するトピックだ。
【参考】関連記事としては「新規参入相次ぐ!自動配送ロボット、国内プレーヤーの最新動向まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)