配車アプリなどを通じたタクシーの相乗りサービスが、2021年11月1日に解禁された。目的地の近い利用者同士を運送開始前にマッチングさせ、相乗りさせることが可能となった。運賃の按分(あんぶん)ルールの例も国土交通省によって示された。
他人と一緒にタクシーに乗りたくない人は別だが、相乗りサービスを利用すれば、バスよりも便利な移動手段を今までよりも割安に利用できるようになる。タクシー需要の喚起につながりそうだ。
▼新たにタクシーの「相乗りサービス」制度を導入します!~タクシーを割安に利用することが期待されます~|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001429533.pdf
■タクシー需要の向上に期待感
タクシーの相乗りサービスは、不特定多数の利用者が随時乗車できるバスとはスキームが異なる。運送開始前に配車アプリで利用者をマッチングする形だからだ。
事前マッチングによる相乗りサービスの解禁により、利用者が割安にタクシーを利用できるになれば、タクシー需要が高まることが見込まれる。そのためタクシー事業者にとっては今回の解禁は歓迎したいところだろう。
また国土交通省は当面、タクシー車内でのマスク着用や乗客同士が隣合わないような感染対策を事業者に求めていくという。
■どのように料金が計算される?
気になるタクシー相乗りサービスの料金についてだが、原則として乗車距離に応じて按分した金額を払うことがルール化されており、国土交通省は以下のように料金の計算例を示している。
利用者Aと利用者Bが相乗りサービスを利用し、タクシーの総移動距離は15kmで、タクシーの合計運賃が5,000円だとする。そしてAは15kmを利用するとし、一方でBはその途中の10kmを移動すると仮定する。
その場合、2人の乗車距離を足すと25kmとなり、Aは25km分のうち15km(3/5)分を、Bは25km分のうち10km(2/5)分を負担する。よって、Aは「5,000円×3/5」で3,000円、Bは「5,000円×2/5」で2,000円を支払うこととなるという。
■タクシー業界で革新が続々と
最近タクシー業界ではイノベーションが進んでいる。2020年12月には一括定額運賃制度や需要に応じた変動迎車料金が導入された。
一括定額運賃制度は電車の定期券や回数券のように、同ルートを定期的に使う場合、まとめて払うことで割安になる制度だ。一方で変動迎車料金は、固定されている迎車料金を需要によって変動させ、需給の標準化を図るものだ。
全国でMaaSが普及する中、タクシー業界は今後どうイノベーションを展開していくのか、引き続きタクシー業界の動向に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「タクシー業界に新潮流!「定期券」など解禁 自動運転、相乗りの取り組みも」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)