東京都は2021年10月31日までに、「スマート東京」の実現に向け、八王子市の南大沢でMaaS(MaaS as a Service)の実証実験を行うことを発表した。「移動」と「買い物」などを組み合わせたチケットを販売するほか、タイムセールなどの情報をアプリで発信する。
■「南大沢スマートシティ協議会」の取り組み
この取り組みは、東京都が八王子市、東京都立大学、協力企業や団体などと設立した「南大沢スマートシティ協議会」が進めるものだ。実証実験は、協議会委員である京王電鉄や三井不動産が中心となって取り組む。
▼南大沢スマートシティ協議会
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/machizukuri/minami_osawa.html
実施エリアは京王電鉄相模原線の南大沢駅周辺で、実施期間は2021年11月1日〜2022年1月31日。スマートフォン用ウェブサイトやアプリでチケットを購入したり、情報にアクセスしたりすることが可能だという。
具体的には、今回の実証実験で行われる内容は以下の通りだ。
- 移動(鉄道)と買い物を組み合わせた「南大沢お買い物チケット」を販売
- 路線バスと電動シェアサイクルとを組み合わせた「南大沢周遊チケット」を販売
- 商業店舗や駅周辺の公園と連携したWebスタンプラリーを実施
- スマートフォンのカメラを通じて表示される実際の風景に地図を重ねるARマップの提供
- タイムセール等の情報をアプリで発信し人流を誘導
- 都立大の学生によるデジタルマップでの地域スポットの紹介
- タクシードライバーによるお買い物付き添いサービスを実施
特に注目したのが、「移動(鉄道)+買い物」や「路線バス+電動シェアサイクル」といった組み合わせのウェブチケットを販売することだ。こうしたチケットを販売することで、まちの回遊性向上や賑わいの創出などが見込めるという。
■分野横断的なサービスの実装へ
東京都は南大沢を「スマート東京」実現に向けた取り組みの先行実施エリアに位置付け、最先端技術の研究とICTなどを活用し、分野横断的なサービスの実装を目指している。
南大沢駅周辺地区には三井アウトレットパークがあり、地区内外から多くの人が訪れる一方で、丘陵地のため高低差があり居住者の移動が負担となっており、高齢化を見据えた取り組みなどが課題となっている。
2021年3月には自律走行モビリティを使った実証実験を実施している。南大沢駅前地区で高齢者などが自動運転車いすで移動したり、買い物客の荷物を自動搬送ロボットが運んだりといった将来的な展開を見据えた検証を行った。
これからも南大沢の「スマート東京」実現に向けたチャレンジに注目したい。
【参考】関連記事としては「「未来の東京」戦略案から垣間見える「首都×自動運転」の将来」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)