近年、急速な勢いで開発が進む自動運転車。自動運転技術がさらに実用性を増し、一般社会にも自動運転車が広く普及するようになれば、人間が車を運転するという技術は、徐々に必要ないものとなっていく。
日常的に自動車を利用する人にとっては、自動運転で目的地まで運んでくれることは非常に素晴らしい体験になることは間違いない。しかし同時に、人間に自動車を運転するスキルを教える場所、すなわち「自動車教習所」は、大きな打撃を受けることになる。
これまでの自動車教習所は、自動車と切っても切れない存在であり、自動車が普及することは、自動車教習所に生徒が入ることと同義だった。自動車を運転する人がまず真っ先に向かうのは、その技術を教えてくれる自動車教習所だからだ。
■「ドローン」や「走行試験場」で生き残り模索
自動運転車の普及や少子高齢化などによって自動車を運転する人口が減少することに備え、自動車教習所の生き残りをかけた戦いはすでに始まっている。
たとえば徳島県の広沢自動車教習所は、ドローンの操縦技術を教える講習を新規事業としてスタートさせた。ドローン技術の関連企業や行政機関などと共同で作られた「日本UAS産業振興協議会」から正式に認定を受け、ドローンの操縦技術や知識に長けたインストラクターを擁している。
ドローンは、空からの空撮だけではなく、災害地域の視察や農薬の散布など、今後積極的に活用されることが期待されている。ドローンの操縦技術に対する需要は今後さらに高まると予想されている。
さらに自動車教習所は、自動運転技術と二人三脚の体制を取れるポテンシャルを秘めている。それは、自動運転車の走行試験場としての自動車教習所だ。
自動車教習所には、自動運転車の走行試験にもってこいの様々なコースや設備が充実している。自動車教習所が教習コースを開放すれば、使用させてもらいたいと考える企業は多いはずだ。
■全国に1000カ所以上存在する自動車教習所
現在、全国に1000カ所以上存在する自動車教習所。彼らの命運は、自動運転車やドローンとの付き合い方によって大きく左右されそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転車とは? 定義や仕組み、必要な技術やセンサーをゼロからまとめて解説|自動運転ラボ」も参照。