自動運転で必要とされるデータの一つに「マップデータ」がある。マップデータとセンサーを組み合わせ安全な走行を実現するわけだが、地図データは高い更新性を維持される必要があり、この更新性の維持が自動運転業界の1つの課題とされている。
そんな中、オランダの位置情報テクノロジー企業TomTom(トムトム)と米ライドシェア大手のUber(ウーバー)が2020年11月4日までに、地図データの編集パートナーとしての関係を強化することを発表した。
どうやらウーバーがサービス展開を通じて得た新設道路や道路閉鎖などの情報を、TomTomのマップデータに反映できるようにするようだ。報道発表ではウーバーがTomTomに対し「完了した移動や配達の現場の状況を観察して報告」と説明されている。
自動運転向けの地図データの更新性を担保する取り組みとしては、町中を走行するタクシー車両にセンシングデバイスを設置する手法などが注目されてきた経緯がある。
■「TomTom」とはどんな企業?
TomTomは独立系の位置情報テクノロジーの大手企業だ。高精細な地図情報やナビゲーションソフトウェア、リアルタイムな交通情報の提供を通じ、自動運転車や自動運転技術を開発する企業を下支えしている。
これまでの発表によれば、すでに欧米では主要道路38万キロ以上を3次元地図化しているほか、日本においても高速道路1万8000キロ以上のデータ化を終えているという。
2020年9月には、自動運転機能が安全に使用できる場所を判断する「TomTom RoadCheck」を発表した。2021年からアメリカの大手自動車メーカーの市販モデルに展開される予定だという。
【参考】関連記事としては「自動運転に適した場所を自動判断!?地図大手TomTomが新製品「TomTom RoadCheck」を発表」も参照。
■TomTomとUber双方にメリット
今回の連携強化はTomTom側だけにメリットがあるようにみえるが、実際にはそうではない。UberもTomTomのデータを活用することを考えれば、アップデートされた地図データはライドシェアドライバーのよりよいルーティングなどに寄与する。
さらにUberは、ライドシェアサービスだけではなく自動運転車の開発にも取り組んでおり、TomTomの地図データを将来的には自動運転タクシーサービスで活用することも視野に入れているとみられる。
そういう意味でも今後、TomTomとUberの関係はより密接になっていくことが考えられそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転向け高精度3D地図、2030年に市場規模2兆円超に」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)