映画の世界の中だけの存在だと思われていた「空飛ぶクルマ」の実現が現実味を帯び始めている中、2020年11月4〜6日までの3日間、東京ビックサイトで「空飛ぶクルマ」をテーマにした専門展「フライングカーテクノロジー」(共催:アテックス社)が開催されることが発表された。
フライングカーテクノロジーは空飛ぶクルマの素材や部品、技術に特化した専門展で、空飛ぶクルマの開発技術にフォーカスした展示会としては国内初だという。
展示企業についてはまだ公表されていないが、同展示会の実行委員会がこの分野の第一線で活躍する有識者や開発企業などで構成されていることを考えると、関連企業が一堂に会する専門展となることが予想される。
ちなみに実行委員会の委員長には、慶應義塾大学大学院の「空飛ぶクルマ研究ラボ」を率いる中野冠教授が就任し、委員には「空飛ぶクルマ」の開発を手掛けるSkyDriveやNEC、エアモビリティ分野を拡大している東レ・カーボンマジックなどからの参加が決まっているようだ。
フライングカーテクノロジーは2020年11月4日(水)〜6日(金)の午前10時から午後5時まで、東京ビックサイトの南展示棟で行われる。入場料は2000円(ウェブからの事前来場登録者は無料)。会場では電気自動車(EV)をテーマにした展示会「EVEX(EV・PHV普及活用技術展)」なども開催される。
■実行委員に参加する各企業の取り組みは?
実行委員として参加する企業の取り組みが展示されるだけでも、フライングカーテクノロジーが大きく注目される専門展となることは確実だ。
SkyDrive社は「誰もが空を飛べる時代をつくる」をミッションに掲げ、航空機やドローン、自動車エンジニアなどが集う有志団体「CARTIVATOR」のメンバーによって2018年に立ち上げられた企業だ。2018年12月から空飛ぶクルマの屋外飛行試験を、2019年12月より有人飛行試験を開始している。
NECは将来的に空飛ぶクルマの移動環境を整えることを目指し、2019年8月に試作機の浮上実験に成功している。NECは小惑星探査機「はやぶさ」や無人機のノウハウ、航空管制技術、5Gなどの通信技術といった同社のこれまでの実績や知見を活かし、空での新たな移動環境づくり、管理基盤を構築する意向だという。
炭素繊維と樹脂で構成された炭素繊維複合材料(CFRP)の活用をエアモビリティ分野で目指す東レ・カーボンマジックは、すでにこのCFRPで航空機向けの部材を手がけた実績を持っている。近年、エアモビリティ分野に参入する国内外のOEMやスタートアップ企業から試作品依頼などもあるということだ。
■空飛ぶクルマの事業化へ空の革命ますます
国土交通省と経済産業省は2018年に「空の移動革命に向けた官民協議会」を開催し、「空飛ぶクルマ」の実用化を目指したロードマップの素案を提示している。ロードマップの素案によれば、空飛ぶクルマの事業化の実現目標は2023年と掲げられている。
トヨタも2020年1月に空飛ぶクルマ開発の米Joby Aviationとの協業を発表するなど話題を集めた。国内外でこの空の革命が進められている近年、この展示会への注目は高いものとなりそうだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは? 仕組みや技術、必要なインフラなど|自動運転ラボ」も参照。