楽天株式会社(本社:東京都世田谷区/代表取締役会長兼社長:三木谷浩史)は2021年3月8日、スーパー大手の西友と神奈川県横須賀市とともに、自動配送ロボットで「西友馬堀店」の商品を配送するサービスを期間限定で提供すると発表した。
この自動配送ロボットによる配送サービスは公道を走行する形で提供され、地域住民に西友の商品を届ける。報道発表では「自動配送ロボットが公道を走行してスーパーの商品を地域住民に配送するのは、国内初」としている。
サービスの提供期間は3月23日から4月22日までの1カ月間で、サービスの提供対象は横須賀市馬堀海岸の住宅地に住む住人。商品の注文は専用のスマートフォン向けサイトを使って行う形となる。
注文できる商品は幅広く、米や飲料、菓子、日用品など約400点が対象だという。今回は生鮮商品や冷凍食品、割れ物などは配送の対象外となる。
■自動配送ロボットによるサービス提供の流れは?
今回使用される自動配送ロボットはパナソニック製だ。機体サイズは長さ115センチ、幅65センチ、高さ115センチで、最高速度は時速4キロ、最大積載量は30キロというスペックとなっている。このスペックなら、買って持って帰るのが大変な重たい米も大丈夫だ。
実際のサービス提供の流れは次の通りだ。まず住民がスマホ向け注文サイトで自宅住所と配達時間帯を指定して商品を注文する。その後、その配達時間帯に自動配送ロボットが注文者の自宅前まで出向き、自動音声による電話で住民に到着を知らせる。
電話で到着を知った住民は自動配送ロボットの前まで行き、注文時に受け取った暗証番号をロボットの操作パネル上で入力すると、荷物の収納スペースの扉が解錠され、商品を受け取ることができる。
ちなみに自動配送ロボットは自律的に公道を走行するが、自律走行中は「横須賀リサーチパーク」から遠隔監視を行うという。
■公道実証で安全性を確認し、実サービス提供を実現
楽天と横須賀市は2020年に連携協定を締結し、今回提供するサービスの公道実証を2020年12月に実施していた。この公道実証で安全性の確認が行われ、今回の実サービスの提供に至ったという。
ちなみに自動配送ロボットの公道での活用に向けては、安倍晋三前首相が2020年5月の未来投資会議において、遠隔監視・操作の公道走行実証が早期に実行できるよう、関係各大臣に指示を出していた経緯がある。
3者は報道発表で「自動配送ロボットなどの新たなテクノロジーによるイノベーションとデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、スマートモビリティを活用した地域課題の解決を推進してまいります」としている。
新型コロナウイルスがまだ収束しない中、「小売×自動配送ロボット」の取り組みへの注目度は増すばかりだ。楽天と西友の今回の期間限定サービスを呼び水に、国内でも類似の取り組みが広がっていくか注目していきたい。
【参考】関連記事としては「首相が喝!自動運転配送ロボの公道実証「2020年、可能な限り早期に」」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)