三菱造船株式会社(本社;神奈川県横浜市/代表取締役社長:大倉浩治)は2020年6月16日までに、日本財団が公募した「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」に新日本海フェリーと共同で応募し、採択されたと発表した。
日本財団の助成金による支援を得つつ、大学やIT企業、制御システム企業とも協力し、無人運航を可能とする要素技術やシステムを開発する。その後、新日本海フェリーより受注した大型高速フェリーを「スマートフェリー」化し、実証実験に取り組むようだ。
実証実験は乗組員による監視・待機のもと、国内航路で2021年6月末から約1年間実施する予定。三菱重工グループ独自の大型機器の遠隔診断技術も船舶機関室に応用していくという。
■ほかにも4つのコンソーシアム
日本財団の今回の募集では、上記のほかにも4つのコンソーシアム(複数の民間企業体)が採択された。
1つ目は丸紅など4社が参加し、既存の小型船に安価で適用できる自動操船技術の開発を目指すものだ。横須賀市の三笠桟橋から猿島間の小型旅客船を実験に利用する。
2つ目は日本海洋科学など22社が参加し、オープンコラボレーションで無人運航船が活躍する物流社会の実現を目指すというもの。東京湾から苫小牧のコンテナ船を実験に利用する。
3つ目は商船三井など8社が参加し、コンテナ船とカーフェリーを使った実験で、事故の8割を占めると言われているヒューマンエラーによる海難事故の撲滅と船員不足や船員の高齢化に対応できる技術開発を目指す。
4つ目はITbookホールディングスなど5社が参加し、群馬県の八ツ場あがつま湖で水陸両用無人運転技術をオープンソースで開発する。
■無人運行船の実現で、2040年には50%の船舶が無人化?
自動運転車のような陸におけるイノベーションが、海でも将来的には確実に起きる。無人運行船が実現すれば2040年には50%の船舶が無人化し、国内で年間1兆円の経済効果が期待できるとも言われている。今後の開発や実証実験の成果に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転船(自動運航船)の現状は?必要技術は?取り組み企業は?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)