福島県南相馬市が空飛ぶクルマの開発が盛んな地域となり、いずれは「南相馬バレー」と呼ばれる日も近いかもしれない。南相馬市では2020年3月に「福島ロボットテストフィールド」が全面開所しており、開発・テスト拠点としての注目度が業界で高まっているからだ。
福島ロボットテストフィールドは、「陸・海・空」向けのロボットの実証拠点という役割を担っており、自動運転車や空飛ぶクルマ、ドローンなどの走行・飛行試験が可能だ。
空飛ぶクルマに関しては、敷地内にある「無人航空機エリア」を利用する形となる。ヘリポートや滑走路、格納庫、緩衝ネット付飛行場などの設備が整っており、開発企業にとっては充実した環境だ。
■テトラ・アビエーションが南相馬市と連携協定
2021年7月7日には、空飛ぶクルマの開発を手がける東京大学発スタートアップのテトラ・アビエーション株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:中井佑)が、南相馬市と空飛ぶクルマの開発や人材育成に向けた連携協定を締結した。
テトラ・アビエーションは以前から福島ロボットテストフィールドに入居しており、これまで取り組んできた試験飛行を引き続き実施するほか、2025年の大阪万博や2030年以降の普及期を見据え、南相馬市とともに若手エンジニアの育成に努めていくという。
ちなみにテトラ・アビエーションは連携協定の締結式において、7月26日からアメリカで開催される世界最大級の航空機展示会「EAA AirVenture Oshkosh 2021」に展示予定の新機種「Mk-5(マークファイブ)」のイメージ画像と模型を公開した。
Mk-5については米国で予約販売を開始し、2022年に引き渡しをするようだ。国内販売も視野に入れているという。
【参考】関連記事としては「東大発スタートアップ、いよいよ1/1サイズの空飛ぶクルマ製作 テトラ・アビエーション社」も参照。
■SkyDriveも福島ロボットテストフィールドに入居
空飛ぶクルマの開発ベンチャーとしてテトラ・アビエーションとともに注目を集める株式会社SkyDrive(本社:東京都新宿区/代表取締役CEO:福澤知浩)も、福島ロボットテストフィールドに入居している。
2021年2月には代表の福沢氏が福島県知事や南相馬市長などを招待し、福島ロボットテストフィールドでのSkyDriveの活動を紹介している。
【参考】関連記事としては「SkyDriveの空飛ぶクルマ事業、1946年創業の三栄工業が「黒子」に」も参照。
■【まとめ】空飛ぶクルマの開発における「南相馬バレー」に
福島ロボットテストフィールドにはデンソーも入居している。自動車部品メーカーとしての印象が強いデンソーだが、デンソーはドローンを使って既存のインフラ設備などを点検する技術を開発しており、そのために福島ロボットテストフィールドを活用している。
このように、多くの企業が福島ロボットテストフィールドで開発・試験を行う状況が続けば、自然と南相馬市はイノベーションの地と認識されていくはずだ。南相馬市が空飛ぶクルマの開発における「南相馬バレー」と呼ばれる日も、そう遠くないかもしれない。
▼福島ロボットテストフィールド公式サイト
https://www.fipo.or.jp/robot/
【参考】関連記事としては「「空飛ぶクルマ」とは?2020年代に実現へ!基礎知識や開発企業を紹介」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)