自動運転技術がレストラン市場を拡大させる——。全米レストラン協会の幹部が米レストラン専門メディアの取材に対し、こうした予測を語っている。なぜ自動運転技術がレストラン市場の拡大に貢献するのか。
■全米レストラン協会の幹部が語る未来予測
こうした予測を語ったのは、全米レストラン協会のシニア・バイス・プレジデントであるHudson Rhiele氏だ。Restaurant DIVEの取材に対して独自の見解を語り、「Restaurant industry will be shaped by AI, autonomous vehicles in 2030」という記事でその一部が紹介された。
Rhiele氏が指摘するのは「ドライブスルー」と「自動運転車」の関係性だ。
自動運転車の場合、1人でクルマに乗っていてもその1人は運転操作に関与しなくてもよく、例えばマクドナルドのハンバーガーを買っても両手で食べながら運転はAI(人工知能)に任せることができる。そのため、ドライブスルーの需要が自動運転車の登場によって高まることが考えられるようだ。
Rhiele氏はこうした未来の変化に合わせ、レストランは自動運転車が安全にドライブスルーを利用できるよう、受け入れ体制を準備することも重要だと話す。例えば、ほかの手動運転のクルマとの衝突事故がないよう専用レーンを準備する——といった具合だ。
■移動や輸送とは直接関係がない業界にも影響力
ドライブスルー需要が高まれば、これまでドライブスルーを設けていなかったレストランも新たにドライブスルーを始めるケースも目立つことになりそうだ。
このように、自動運転車の普及は人の移動やモノの輸送だけではなく、移動や輸送とは直接関係がないさまざま産業に影響を与える。レストラン業界だけではなく不動産業界もその一つだ。移動のストレスが減ると「都心の一等地」という優位性が薄れ、駅から遠い物件の価値が高まってくることも考えられる。
こういう視点で考えると、各業界でいち早く自動運転のような先端技術をどううまく使うか考えたプレイヤーこそが次世代の市場をリードする存在になり得る可能性を感じさせる。例えばもし宿泊業界から自動運転車を使った「動くホテル」などを発表する企業がでたら、大きな注目を浴びるだろう。
【参考】関連記事としては「自動運転社会の到来で激変する9つの業界」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)