東急株式会社(本社:東京都渋谷区/取締役社長:髙橋和夫)は2021年6月1日までに、東急線沿線での自由で豊かな働き方を実現するMaaS実験「DENTO」の結果と今後の展開について発表した。
DENTOの実験は田園都市線在住の都心通勤者を主なターゲットとして、2021年1〜4月にかけて行われた。
この実験で行った主なサービスは3つだ。1つ目は快適な都市通勤を実現する移動サービスの提供。2つ目は田園都市線たまプラーザ駅以西を中心にテレワークできる就労場所の展開、3つ目は定期券保有者限定の「100円乗り放題チケット」の販売だ。
これらのサービスは全てLINE上のデジタルチケットで提供し、料金の授受やサービスを非接触とした。
■100円乗り放題チケット、購入2万枚以上
都市通勤のための移動サービスにおいては、田園都市線郊外と都心を結ぶ高速バス「サテライトビズライナー」は平均客席稼働率が1割弱で、都心から横浜市青葉区内の自宅を結ぶ「相乗りハイヤー」は利用者の評価は高かったが利用総数は低迷した。
今後に向けて発着エリアや利用時間帯の拡大が必要とされ、認知度が低いという点も改善の必要があるという。
定期券保有者限定サービスとして販売した「100円乗り放題チケット」は、2万枚以上の購入があった。また、購入者の48%がチケットを購入したことで予定外の外出を行い、45%は東急グループ施設を利用した。交通費割引による移動・消費の促進効果も確認できたという。
■「職・住・遊」をMaaSでシームレスにつなぐ
今回の実験では、会員登録者の6割がサービスを利用しなかったことや、総販売数の9割以上が100円チケットであり、提供したサービス需要に大きな偏りがあったことなどが課題として挙がった。
一方、MaaSサービスに対する需要は高まりつつあり、東急は今回の実験の結果を踏まえ、ポストコロナを見据えた郊外地区の「職」「住」「遊」をシームレスにつなぎ、移動をはじめとしたサービス開発を推進していくとしている。
今後の東急による取り組みに引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「Afterコロナの地方観光活性化、「MaaS推進」が重要施策に!」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)