あなたの手荷物は自動運転で運ばれる——。佐賀空港の制限区域内における自動運転トーイングトラクターによる手荷物搬送の実証実験について、全日本空輸(ANA)と豊田自動織機がこのほど発表した。
トーイングトラクターとは貨物を搭載したコンテナをけん引する車両のことで、手荷物などを運ぶ役割を果たす。発表によれば、「実際のオペレーション」として自動運転トーイングトラクターによる手荷物搬送に取り組むのは国内初だ。
実証実験の期間は2020年9月28日から10月5日とされ、手荷物仕分場から出発スポットまでの区間をトーイングトラクターが自動走行するという内容だと発表されている。
今回の実証実験の目的は、安全性や作業工程などの検証を通じ、本格導入に向けた課題の整理や具体的な業務設計につなげていくことだ。空港内の人材不足が課題とされる中、実用化がされればこうした課題の緩和が期待できそうだ。
ちなみにANAは2019年3月に佐賀空港を「イノベーションモデル空港」と位置づけ、手荷物を搭載する工程において自動化領域を広げている。
■自動運転トーイングトラクター、本格運用開始は近い!?
ANAと豊田自動織機による今回のような取り組みは初めてのことではない。2020年2月には中部国際空港でトーイングトラクターを使用し、自動走行の実証実験を行っている。
実証実験を実施した結果、全体としての問題は少なく、障害物の未検知もなく、走行制御は良好であったという。ただ遠隔運行管理システムについては、周囲環境の監視カメラ画像表示に遅延が発生しており、5Gの活用方法や画像の送受信手法の見直しを検討するとされている。
日本航空(JAL)も成田空港で2019年10〜11月と2020年1〜3月までの期間、自動運転トーイングトラクターを用いた3種類の実証実験を行っている。
トーイングトラクターの自動走行に関しては国土交通省も実用化に向けて積極的に動いており、一般の空港利用者からは見えにくい部分ではあるが、徐々に本格運用が始まる日が近づいている印象を受ける。
【参考】関連記事としては「【資料解説】空港トーイングトラクターの自動運転実証、進捗は?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)