米国などで普及しつつある自動運転車。しかし自動運転システムでは、「人間が介入すべき事態となるような不具合」が9分に1回のペースで発生しているということが調査により判明した。
この調査を行ったのは、アメリカ自動車協会(American Automobile Association)=AAA=で、日本ではJAF(日本自動車連盟)に相当する組織となる。AAAによると、自動運転車の走行中、システムは割り込みや車線の中央をうまく維持できないといった問題がたびたび発生しているという。特に交通渋滞時には、こういった不具合が9分に1回起きている。
世界中で自動運転の実用化が進んでいるが、依然として人間による運転に頼らなければならないシーンが多いことが浮き彫りになった。
▼AAAプレスリリース(Active Driving Assistance_ Promising Technology, Lingering Challenges)|AAA Newsroom
https://newsroom.aaa.com/2025/08/active-driving-assistance/
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■割り込みが発生すると90%の確率で・・・
AAAの自動車エンジニアグループは、「アクティブ・ドライビング・アシスト(ADA)」を搭載した5台の乗用車を用いて、混雑した道路環境で低速走行のテストを行った。ADAは「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」とも呼ばれている。
テストの結果、人間がハンドルに手を添えている場合(ハンズオン型)と手を離した場合(ハンズオフ型)の両方で、平均9分ごとに運転上の問題が起きることが確認された。特に、他車の割り込みへの対応や車線の中央をキープできないといったケースが目立った。
最も多かった問題は、前方の車線に他の車が直接進入してくる「割り込み」で、割り込みが発生した場合は90%の確率で人間の介入が必要となった。2番目に多かったのは「車線中央維持支援が不十分」という点で、カメラやセンサーを用いているにもかかわらず、車両を正しく車線の中央に保てないケースが見られたという。
このようにADAが十分に対応できず人間の介入が必要となった事象は、平均して9.1分に1回起きている。距離にすると平均3.2マイル(約5.1キロ)ごとに発生している計算だ。かなり高い頻度だと言える。
■ハンズオン型はハンズオフ型より3倍
今回の研究では、ハンズオン型とハンズオフ型それぞれにおけるADAシステムの違いも明らかになった。ドライバーがハンドルに手を添え、システムが周囲を監視する方式のハンズオン型は、ハンズオフ型の3倍多くの人間による介入が必要になった。しかし、ほとんどの状況でハンドルから手を離すことが可能なハンズオフ型でも、平均して15.3分(約5マイル≒8キロ)ごとの介入が必要であった。
AAAで自動車工学研究部門のディレクターを務めるGreg Brannon氏は「ADAシステムは一部の状況では役立つものの、ドライバーが注意を怠ってよいというわけではない。特に渋滞時にはドライバーは常に気を抜かず、決して注意散漫にならないということが重要だ」と注意喚起している。
■システムの過信は危険と忠告
AAAは、スマートフォンなどによる注意散漫を避けることのほか、車両の取扱説明書をよく読みシステムの特性を理解することをドライバーに呼びかけている。また適切な車間距離を保つことも安全対策として特に重要だと指摘している。
自動車メーカーに対しては、特に割り込みや車線維持への対応力を高めるよう改善を求めているようだ。さらに、運転支援機能が解除された際にドライバーが確実に気付けるよう、より明確な警告を提供することも要望している。
自動運転システムや高度な運転支援システムを過信したことによる事故もたびたび発生している。自分のクルマの機能をよく理解し、システムを適切に利用することが重要だ。
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・社会受容性のレポート一覧」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)